【北島一周】ただいまワイロア、いってきます!【55日目】
今日はトニーと会う約束がある日。
朝はゆっくり起きて、車の片付けをする。
昨日は散らかしっぱなしだったからバックパックの整理をして、洗濯物取り込んで、出発!
図書館よりも少し遠い場所にとめて、街を歩きながら図書館へ。
11時頃、トニーがやってきた。おかえり〜! って。
うちで夜ご飯でもってなったけど、今日は進みたいからお昼ご飯を一緒にしてもらうことにした。どんなにいい人でも、さすがに夜おじさんのお家にお邪魔するのはちょっとね……
この間と同じようにお昼休みにお寿司屋さんへ。
お昼ご飯を食べながら、ワイカレモアナの話をしたり、この後の話をしたり、描いてきたトニーの似顔絵をプレゼントしてあっという間にお昼休みが過ぎました。
想定の範囲内でめいいっぱいゆっくりしちゃった。
今日行く予定のキャンプサイトに行く間に、アグネスとベンに教えてもらったいいところ二つに行きたい!
間に合うかな〜と急いでなんとかたどり着いた一つ目の場所。
丘の間を歩いて、森に入って、山を歩いて……
しばらく進むと出てくるめちゃくちゃ大きな滝……本当に綺麗!
Shine Fallsっていう滝。
最近見た滝の中で一番大きいし、流れがとっても綺麗で文句のない最高の滝!
晴れているけど全く暑い日ではないし、もう夕方だし、風もあって割と寒かった。
それでも水着のカップルが滝に入っていってったよ……
絶対寒い。でも楽しそうに滝に打たれていました。
夏に泳ぐのに最適なプールだな〜
歩くのはすごく楽しかったし、滝もとってもよかったんだけど、このトラックの入り口までの運転が結構大変だった。
砂利道をゆっくり進んだので思ったより時間がかかってしまって、この後の場所に行けるかわからない……
それでも超いい場所らしいので頑張って進むことにします。
……と思ったんだけど、風がすごくて走っているはずの車が揺れる。
とても綺麗な景色があって車を停めてみたんだけど、風に負けて車のドアすら開けられない。
この風はやばすぎる。
これで歩けるのかな……? と不安になっていると、あっという間に曇って雨が降ってきた。
これはやばすぎる。ということでリターンしました。
明日もう一回チャレンジするかって迷うけど、ガソリンがギリギリなので迷います。
今日は湖ほとりのキャンプ場で一泊。
ここは有料キャンプ場っていう間違いの触れ込みがあるせいか人が全然いなかった。
かなり広いキャンプ場なんだけど、人の何十倍も羊がいます。
かわいい。
子羊だらけだ〜〜寝ます。
【北島一周】ワイカレモアナ湖三日目・大雨トレッキングからのいい夜【54日目】
ワイカレモアナ三日目
雨だ。大雨の音がする。まだ5時なのに韓国人グループが起き始めた。
早朝にも関わらず靴でドタバタ動き回るしキッチンでガチャガチャやっていて音の配慮が一切ないから、嘘だろ〜って思いながら起きた。
他はみんな寝ているのに!
もしかして彼らは朝便のフェリー組なのかな?
私は昼のフェリーだから余裕があるけど……
それにしても早すぎる、っていうかうるさすぎるよ〜
外に出て雨を眺める。
結構強い雨で風もあるけど、まあそこまで大変そうではない。
豪くんやアグネスたちも起き始めたけど、みんななんか落ち込んでいる。
雨が悲しいらしい。
さらに話を聞くとアグネスたちは雨具を持っていないんだって……嘘でしょう……
トレッキングに雨具なしはやばすぎる。
ただでさえ天気の変わりやすいニュージーランド、しかもここは山だ。
というか天気予報でも元々雨だったし、フェリー・バス予約やガスなしも含めてちょっと計画性がなさ過ぎる。
トンガリロ行った時はどうしたの? って聞いたら、いい天気だった、って……
ニュージーランド旅初心者すぎない……? 大丈夫かな、このカップル……
豪くんが、9時まで待てば止む! と言っていた。
みんなそれを信じて9時まで待つそうだ。だけど私は先に行くことにした。
せめて三十分くらい待とうよってめちゃくちゃ引き止められたけど、彼らと違って私はフェリーを予約しているから遅れるわけにはいかない。
それにこの雨がそんな数時間で止むはずがないってなんとなくわかるもの。
どうせ止まない雨なら、早く行ってハットでのんびりフェリーを待っていたい。
ふと時計を確認する。
……?
その時、iPadの時間と腕時計の時間が1時間ずれていることに気がついた。
何があった? どういうこと?
どっちが正しい時間なの??? とアグネスに聞いてみると、アグネスもびっくりしていた。
そして二人で気づいた。サマータイム始まった!!!!!
すっかり忘れていたよ……
そうでした、この国にはサマータイムがあるんだった。最近ずっと一人だったから誰も教えてくれていなくて忘れていたよ……
じゃあ5時からうるさくしていた韓国人グループは、実は6時に起きただけだったのか!
なら普通だなあ。
うるさいのは困ったけど、早すぎるわけじゃなかった。
勘違いしていてごめんね。
電波を拾ったら絶対に連絡してね、とハグをしてみんなと別れる。
そして歩き出す。雨の中、一人で。気が楽だな〜〜
歩き出すと思った通り、木が雨をカバーしてくれていてそんなにしんどくない。
屋久島でトレッキングしたときの方が大雨だった気がする。
ただ足元がやばい。
最初は泥を避けて歩いていたけど、途中からもう気にならなくなった。
足首まで泥に使っても何も思わない。
泥の中をとにかくずんずん進むから足はもう泥だらけ。
歩く度に靴の中の水と泥がびちゃびちゃなって、重たくて、まるで森の一部として歩いているみたいだった。
風の日、曇りの日、晴れの日、そして雨の日。三日間で全部体験できたのは結構嬉しいなあ。
想像以上に歩きにくくて体力は奪われたけど、バックパック有りで3.5時間で制覇できました。やったね〜
5時間っていう予想はやっぱり嘘でした。
雨だから音楽も聞けないし、ただただ歩くだけだったけど、割と楽しかった。
着いたのはいいものの、時間が想定外。
フェリーは14時半なのに、11時には着いてしまった……
早めについてハットでゆっくりしたかったから万々歳なんだけど、狭いハットにはすでに1グループが いて、キッチンを占拠していた。
昨日も2回ほどすれ違ったいい人たちっぽかったんだけど、グループに入っていく勇気はないので、空いていた寝床の部屋にこもることにする。
身体中がびちゃびちゃで風邪をひきそう。
そこから約3時間、ものすごく長い時間だったな……だけど、絵を描いたり花札で遊んでいたらなんとか時間がすぎた。
13時ごろ、トイレのために外に行くといつの間にか雨が止んでいる。
晴れそうだ。やったね〜
キッチンにいたグループのうちの一人も外に出てきて、少しお話しした。とてもとても優しそうないい人だった。
彼らのうちの三人はフェリーに乗るんだけど、あとの二人は人数オーバーでこの先まで歩かなきゃいけないんだって。そしてフェリーに乗った組がトラックエンドに迎えに行くらしい。
乾かしていたTシャツを取りに行ったとき、外でタバコを吸っていた人に声をかけた。
この湖歩きでこの人の姿を見かけるのは3回目。
さっきみんなの話を盗み聞きしていて、やっと声をかける決心がついたのだ。
「こんにちは」、そう声をかけるとちょっと驚かれた。
「えっ、あ〜……そうか、日本人かな? とは思ってたんだけど」
私はマレーシア人かと思ってた、と言うとそれははじめて言われた、と笑われた。
旅をしていて会う四人目の日本人はユウタさんと言う人。
ネイピアのリンゴ農園で、今ハットにいる他の五人と一緒に働いているんだって。
アジア旅のためのお金を貯めるためにニュージーランドに来た人で、ニュージーランド巡りにはあまり興味がないらしい。時間もないのでバーっと喋った。
みんなが話題にしているビザのこと、コロナのこと、ロックダウンのこと。日本語でこんなに会話するのは久しぶり。
同じフェリーに乗るようだから、また話せるといいな。
準備を整えてハットを出ると、昨日滝ですれ違ったおじいちゃんに会った。
滝のそばの道に腰掛けて、植物図鑑片手に植物の名前を調べていたとってもかわいいおじいちゃんだ。
「君のパートナーにさっき会ったよ、どうして一緒にいないの?」
うわ〜〜〜豪くんのこと言ってる。
めちゃくちゃに否定しておいた。パートナーじゃないし彼は日本人じゃないしただハットで会って一緒に歩いていたただの友だちです、って。
おじいちゃんはすごく優しくて、話しやすくて、そこからフェリー乗り場までずっとおしゃべりしていた。
おじいちゃんは今はもうリタイヤしているけどお医者さんで、奥さんと一緒にネイピアに住んでいるそうだ。
ネイピアにきたら電話してね、と電話番号をもらった。
フェリーは三十分遅れでやって来た。
波が高くて、車が置いてあるオネポトまでいけないらしい。
別の場所に降ろしてから車で送ってあげるね、と言われた。
朝の大雨から一転、めちゃくちゃ晴れたよ〜やった!
フェリーの船員さんはマオリの人で、この間まで日本にいたんだって!
日本人好きで優しくていっぱい話してくれた。
船と風の音に私の声は負けてしまうから、耳元で大声で喋らなくちゃいけなくて大変だったけど……
1時間くらい乗っていたのかなあ。ホリデーパークに着いた船を降りて、おじいちゃんと別れて、それから車に乗ってみんなと移動。
ネイピアリンゴ農園組が、ネイピアにきたら遊びにおいでよ! ってバックパッカー の名前を教えてくれたんだけど忘れちゃった。
電話番号も渡すだけじゃなくてもらっておけばよかったなあ。
チリからきた女の子の名前がパオリーナって言って、すっごく可愛いなって思ったことだけ覚えている。
名前だけじゃなくて本人がとても可愛い。いい子だなあって、初対面でもわかる人だった。
靴も服もびしょびしょですが、なんとかグラ子の元に帰って来ました〜!
もうヘトヘトです。大雨トレッキングは大変だね……
マオリの船員さんが、すぐ先にあるワイカレモアナとはまた別の小さな湖をオススメしてくれていたんだけど、ちょっと疲れすぎて無理。
滝とか山とか行ってみたいところがあったんだけど、行くなら先に行っとけばよかったな〜
フェリーの時間に押されてもう4時になってるし、シャワー浴びたいからワイロアまで帰ろう。1時間ドライブです。
とにかくゆっくりしたいので、無料で泊まれるところもあるけど有料キャンプ場に今日は泊まります! 洗濯物もしたいし、シャワー浴びたいし、のんびり寝たいし、キッチンでささっと料理したいし。
と思っていたらアグネスから連絡が。
そうだった、車に着いたら連絡するって言ってたのに忘れてたな〜
あまりにも疲れているから断りたかったけど、行きたい気持ちがある。
ふわっとした返信をして相手に判断を委ねた結果、行くことになりました。
アグネスたちはトラックの終わりまで歩いて豪くんの車に乗せてもらう予定だったはずなんだけど、途中で諦めて早い段階で雨の中フェリーに乗って帰って来たらしい。
おいで! って言われたら嬉しくなっちゃうから、行くしかないよね。
車で行こうか迷ったけど、そんなに遠くない距離だったので歩いて向かう。
セルフコンテインカーのアグネスたちは私よりも泊まれる場所が多くて、今日は公園にいた。
はじめてお邪魔したセルフコンテインカーの車!
まだ旅を始めて一週間くらいの彼らのピカピカの車はベンによって早速改造されていて、本当にいい車だった。いっぱい説明してくれた。嬉しいよね〜新しい車。
それから三度目? 四度目のニュージーランドのいい場所共有をしたり、普通にお互いのことを話したり。じっくりちゃんと話すから、英語が追いつかなくなって止まってしまう。
でもアグネスはちゃんと聞いてくれる。止めないで、なんでもいいから話してみて、って言ってくれる。
たくさん話して、笑って、遊んで。アグネスは私にとってお姉ちゃんみたいな存在になっている。
ベンは時々話に参加するだけで、強面な見た目もあって私は嫌われているんじゃないかってドキドキしてしまっていたんだけど、笑うときには豪快に笑うし、ただ裏表のない明るい性格なだけだってこともわかって来た。
途中、アグネスのスマホに豪くんからメッセージが来た。
爆笑しながらメッセージを見せられ、わたしの顔は固まってしまう。
わたしに会いたいんだって。恋しいんだって。
は〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜……
どうする? なんて返す? っていうか彼と付き合っちゃえばニュージーランドのビザもらえるんじゃない? いいんじゃない? って爆笑しながら茶化すアグネス。
いやだ。絶対いやだ。
thank you、って返信しといてくれたみたい。ありがとう。
私はお土産にチョコレートのお菓子を持って来ていた。
本当はビールでも買ってこようかと思っていたんだけど、チョコレートは大正解だった。
彼らはアルコール飲まないんだって!
雰囲気からして割と普通の人っぽいけど、もしかして実はいい人たちかな? と思ったけど、ただ単に若いうちにもうやり尽くしてやばいところまでいってしまったということらしい。
だからずっとみんなでお茶を飲んでいた。
彼らもチョコレートを持っていて、お茶とお菓子でずっと楽しく過ごしていた。
これ、普通のことっぽいんだけど私からしたら結構信じられないこと。
今まで会って来た若い人たちと一緒に過ごす時にはいつも、煙とお酒がそこにあった。(だからわたしにはあんまりニュージーランドで若者の友だちができなかったのだと思う。大人たちはみんなそこをもう超えていて、話しやすかった)
ベンは葉っぱ、アグネスはシーシャが好きらしいけど、基本的にはクリーンなんだって。
東京にはシーシャいっぱいあるよ、っていったらやっぱり東京に行かなきゃ! って言ってた。(いい機会だからずっと持ってた葉っぱをあげた。ベンは喜んでた。アグネスはあんまり好きじゃないらしい。)
夜9時をすぎて、眠さが限界になって、帰ることにした。
一キロもない距離だったけど、危ないからって二人がキャンプ場まで送ってくれた。
日本の話をする度にアグネスの口から流れる「東京ドリフト」のうた。
ベンが子供みたいにはしゃぎながら披露する「サムライジャック」って言うアニメの1シーン。
楽しくってしょうがない夜だった。嬉しくって幸せな夜だった。
大雨の中歩いた数時間、一人ぼっちで暇していたハットでの数時間が嘘みたいに。
【北島一周】ワイカレモアナ湖二日目・一人にさせてくれ【53日目】
早く寝たからか5時くらいに目が覚めた。
まだ空は暗かったしみんな寝ていそうなので、しばらく寝袋でじっとする。
だけど起き出した韓国人グループが想像以上にドタバタうるさかったのでまあいっか〜と私も起きることにする。
明るくなってきた空を見ると、昨日と打って変わって晴れている。
これなら朝日が見えそうだけど、方向的に森があって厳しいかな?
階段のところまで行けば見れるかもしれないから、あとで行ってみよう。
お湯を沸かして、即席スープを作って飲む。
しばらくすると隣で寝ていた豪くんが起き出して、私のところにきた。彼はガスを持っているけどバーナーを忘れたらしく、昨日の夜から私のバーナーを貸してあげているのだ。今日の朝も必要だろうから貸してあげる。
昨日の夜、星が見たくて真夜中に起きたらしい。
でも曇っていて見えなかったって。夕日だけじゃなく星を見るためにも頑張っていたなんて、空が好きなんだなあ。
ニュージーランドで一番いい星空が見える場所を教えてくれた。
湖脇にあるキャンプ場で一泊した時の星空がすごかったんだって。
教えてくれたのはタウポ湖。もうすぐいく予定だよ〜と言ったらそのキャンプ場を教えてくれたけどTOP10だった……
TOP10っていうのは、どこにでもある高規格キャンプ場。キッチンもシャワーもラウンジもすごい綺麗なんだけど、値段が高くて私は使ったことがない。TOP10はファミリーとかお金持ちの旅行客が使うイメージだし、実際そうだし……
私が思う一番いい星空はノースランドだったなあ、って言ったけど、あんまり響かなかったみたい。
朝からたくさん話すことに疲れて、ちょっと散歩してくるね、とその場を去る。
豪くんはいい人なんだけど、ちょっとフレンドリーすぎる。
一人ののんびりした時間を与えてくれない……
自分と同じシングルの人を見つけて嬉しいのか、嬉しそうにどこにいても着いてくるのが私にはちょっとしんどい。
話の合ういい人だったら良かったのかもしれないけど、なんかちょっと違うんだよなあ。
やっぱり朝日がなかなか見えないので、少し先のポイントまで森を歩くことにする。
もう日の出は始まっているみたいで、森がオレンジだ!
とっても綺麗。日の出は見えなかったけど、森がきれいすぎて満足した。
ひとしきり散歩をしてハットに戻ろうとすると、豪くんがやってきた。
「どこ行ってたの?」と声をかけられたので、森がオレンジで綺麗だから散歩したらいいよってオススメしておいた。
ハットに戻るとアグネスとベンが起きていたので声をかける。
バーナーを忘れた豪くんはまだしも、このカップルはガスすら持ってきていないらしい……
豪くんのガス(と私のバーナー)を借りて朝ごはんを作っていた。
このカップル、ここから二日、大丈夫なのか……?
まあでも今日の夜も一緒のハットらしいからまた貸してあげればいっか。
豪くんが戻ってきたので、バーナーを返してもらって荷造り開始。
全員が起き出してハットがしっちゃかめっちゃかになる前に出発したいので、まだ誰も出発していない状況で一人優雅に出発〜〜〜のはずが、
「ちょっと待ってよ!!!」
とやっぱり豪くんが着いてきた。
あ〜……一人で歩かせてくれないかあ……
そこから結局約4時間、一緒に歩いてたくさん話しました……
山を降りると次のハットがあって、そこはすごく良かった。
湖の目の前で。
船で狩りにやって来た地元のおじちゃんがいて、ちょっと話して楽しかったな。
本当に綺麗な湖だったし、泳ぎたい。でも冷たすぎた……
そして湖を見つけるたびに豪くんのテンションが高い。
最高だ、なんていい日なんだ……ってずっと言ってる。
湖やわたしの写真をたくさん撮ってくる。怖い。
湖は本当にきれいだし、晴れていて嬉しいし、私も楽しいんだけど、どんどん苦しくなってくる。
のんびり歩かせてくれない。
歩いている間中たくさん質問してきて、少し話すと彼の話をたくさんしてくる。
そしてその話す内容があまり好きじゃない。
一人になりたい。しんどい。
一人で歩きたい。どんどんどんどん背中が痛くなってくる。
この日記を書いている今もなんか嫌な気持ちになってくる。
っていうか書きたくなさすぎて、この日から十日後くらいに今書いてる。
(今気づいたけど、五十日間ずっと毎日書いていた日記だったのに、それを諦めてしまうくらい嫌な気持ちだったんだね……)
それでもなんとか頑張って滝にたどり着きました。
豪くんがお腹すいた〜〜って言ってるから、じゃあお昼にしなよ! って言ってその場で別れました。
私はお昼ご飯いらないから、歩きたいから! って。
もしかしてバーナーが欲しくてついてくるのかしら、とバーナーも貸してあげた。(絶対そんな理由じゃない、わかる)
一人になった。急に景色がキラキラしているように見える。
はあ〜〜〜〜〜〜〜疲れた。
森は一人か、気の知れた友だちと二人で歩くくらいがいい。接待している気分で歩くのはしんどすぎる。
本当に、本当に疲れた!!!!!
でもやっと森と湖と一緒にいれる。それがうれしい。
森がきれい……
そこからは無心で頑張って歩いて、あっという間に次のハットにつきました。
ハットにはアグネスとベンがいた。
滝に行く道の入り口ですれ違ったとき以来。
早いね〜! ってびっくりされた。
友だち(豪くん)はどうしたの? って言われたので、滝で別れたよって言ったら微妙な顔をしていた。
中国語の名前は難しすぎて、私も彼らもどうしても豪くんの名前が思い出せない。なんだっけね……
汗だくだらだらなので湖で泳いでこようかな〜って迷っていたら、俺たちも行ったけど本当に冷たくて泳げなかった、でも一瞬入って上がってこい!! って言われたのでとりあえず挑戦。
足をつけるとすぐにその冷たさがわかって、早速諦めたい。
だけどベンが遠くから「GOGOGO!!!」って叫ぶので頑張って入った。
やばい。
水風呂よりずっと冷たいかも。
それでもなんとか潜って、泳いで、ついでに髪の毛も洗って。
本当に氷水みたいだったkら数分しかいられなかったけど、一気にさっぱりした。
身体を乾かしがてら日光浴しているとアグネスがやってきて、「髪の毛洗ったの!? クレイジーじゃん!!」って言われた。
やばいくらい冷たいけど気持ちよかったよ、って言ったらベンの押しに負けてアグネスも再チャレンジ。
さっきは足だけしか挑戦しなかったんだって。
叫びながら潜って、叫びながら帰って行った。元気だな……
しばらくすると豪くんもきた。思ってたよりずっと早い。
途中の湖が気持ち良くて三十分も昼寝しちゃったよ、って言ってたけど絶対嘘だ。
彼のスピードは私よりもずっと遅いもの。うーん。
貸しておいたバーナーはキッチンに置いておいたよ、と言われたので見にいくとバーナーを入れておいた袋に穴が空いてる。
熱いバーナーをそのまま入れちゃって焦げたんだな……これは相当急いで片付けをしたんだろうな……でも袋に穴を開けて何も言わないのはちょっとな……
うーん。
全員湖で泳いだからお前も泳げ! とベンに言われて豪くんも水着に着替えて泳ぎに行った。
私はお絵かきでもしようかな、と荷物を取りに寝台へ。
すると私のマットの隣に豪くんの荷物が置いてあった。
マットはたくさんあるのに!!! わざわざ私の隣をなんでとるの?????? 私は豪くんの一連の流れに本当にイラついてしまっています。
うーん。うーーーーーん。
これは多分相当気に入られたな。
困ったな。
そしていいところ見せようとして頑張っているのが見ていてなんとも言えない。
わたしの器小さすぎかもしれないけど、そもそも気にしすぎかもしれないけど!
みんなでキッチンに集まって早めの夜ご飯を食べたりしばらくおしゃべりしていたけど、途中で抜けてアグネスとベンの絵を描くために湖へいく。
事前に写真を撮らせてもらっていたので、それをもとに絵を描くんだ〜
ところがしばらくするとまた豪くんがやってきた。
もう〜〜〜〜〜〜〜!!!!
わざわざハットからは見えない岩をいくつも超えた場所に来たのに!!
「リトアニア流のトランプは難しすぎた、心配になって見にきたよ〜」って。
いや大丈夫だし!! みんなと遊んでてよ!!!
しばらく話して、じゃあ絵を描きたいから……って引き上げる。
「夜になる前に帰ってきてね、暗くなっても帰ってこなかったらまたくるからね」って、もう〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!
イライラしてしまいましたが、アグネスとベンの絵はとてもいい感じに出来上がりました。
キッチンに戻って二人に絵を見せて、それからしばらくまたおしゃべりして。
お互いの国のこととか、ニュージーランドのいいスポットの共有とか色々して、8時ごろに就寝しました。
豪くんの隣で。はあ。
【北島一周】ワイカレモアナ湖一日目・山小屋での出会い【52日目】
ワイカレモアナ湖歩き、一日目!
風が強すぎてよく眠れませんでした……夜中に何度も起きちゃった。
風が怖いっていうか、明日本当に行けるのか? っていう不安で。
そしてさらに向こう側の車が朝の7時くらいから準備し始めてバタバタバタンで、朝からしっかり起きちゃった。あの人たちもきっとワイカレモアナ湖にいくはずだよね。そんなに早く行かなければいけないトラックなのかしら、とちょっと焦ってしまう。
起きたもののまだ時間があるので、車の中でのんびり絵を描く。
周りに止まっていた車がみんないなくなったタイミングで、湖歩きに持っていくための準備やご飯作り。
チョコバーとかサンドウィッチ、果物をカバンにつめる。
せっかくだからお弁当も作りたいな〜と思っていたので、ご飯を炊いてお弁当も作りました。たくさん歩くって時はやっぱりお米が必要だよね。
ただ、風が強すぎていつものように車の後ろでご飯を作ることができませんでした。そのくらい風が強いの……これ歩けるのかな?
必要なものを色々詰めて、準備が完了しました!
キャンプ場からスタート地点まではすぐ。
10時にスタートです。それにしても風が強くて心配。
だけど歩き出してすぐに森に入ってわかりました。
たくさんの木が風を防いでくれているおかげで楽しく歩ける! やった〜!
風の音がきれい、木漏れ日がきれい。
こんなに風が強い日にわざわざ歩くことが普段ないから、楽しい。
楽しい。
楽しい、、、、、んだけど、やばい。
想像以上の登り坂にすぐに息が切れてしまう。
こんなにきつい登り坂なんていつぶりだろう。
っていうか多分、きつい山登り自体は割とこなしているんだけど、今背負っているバックパックが重すぎるんだ。いつもだったら軽いリュックか水だけだけど、今日はおそらく10kgは超えているであろうバックパックを背負っている。
これがしんどいんだ。
しかも今日は初日だから、水も食料も一番多い状態。一番重い状態でこの山道はしんどすぎるよ〜〜〜
しんどい気持ちと、道がきれいで嬉しい気持ちがごちゃまぜの中、ひたすら歩きます。
途中、山道の途中で帽子を落としたことに気づき数分戻っただけで心が折れそうだったな……
かわいいがいっぱいなのは元気出る。
基本的には山道を歩くけれど、時々湖も見えます。きれい。風が強いのとまだちょっと曇があること以外はとてもいいところ。
ハットが満室だったので警戒していたけどそんなに人がいない。
わりと早めに出発したからかなあ。途中でおばちゃんグループを抜かし、おじいちゃんと若い女の子のカップル? とすれ違っただけでした。
おじいちゃんたちは湖歩きではなく、登ってハットで一泊して今日降りるだけの山登り隊らしい。昨日は雨がすごくて風もすごくて大変だったけど今日は風が強いだけだからいい、って言われた。今日にしてよかったな……
山道に挫けそうになりながらも、今日一番の見所へ。
あっ、ここホームページで何度も見たところだ!
見た瞬間にわかった、きれいな場所。だけど本当に風が強くて立っていられない。
たくさん写真を撮って、さっさと退散しました。落ちたら洒落にならないもの。
そこからまだまだ続く山登り。ひたすら登って、登って、登って……階段が見えました。一気に登る感じ、もうすぐ到着かな? とはいえ時計を見るとまだ3時間。4〜6時間って書いてあったからな……まだっぽい。
と思ったら到着しました。あれ????
しかも誰もいない。??? そりゃそうだ、まだ13時だもの! 想像以上に早く着いてしまった。しんどすぎてつい早歩きになってしまったみたい。ペース配分できてなさすぎだったなあ、明日筋肉痛になるのかしら。
とにかくこの広いハットを一人占めできるのは幸せ。汗でびしょびしょの服を着替えて、洗って干して、お昼ご飯を食べます。朝作ってきたお弁当!
シャケ缶を買って炒めたものを乗せてきました。美味しい〜
ご飯を食べ終わってもまだ14時。
暇すぎる。どうしよう。
アルゼンチンからきたワーホリの男の子がやってきて、少しだけおしゃべりした。今日一泊することは決めてるんだけど、あとはノープランだからテントを持ってきたらしい。自由だな〜 男の子、というか三十歳くらいの人だった。
フレンドリーではあるんだけど、ちょっと微妙な雰囲気を感じたので話もそこそこに切り上げる。
iPadは充電がもったいないからあまり使いたくないし、でも本を読みたい気分でもないし……
一応持ってきておいたメモ帳にお絵かきをしたり、雑談みたいな手紙を書いてみたり。そうこうしているとちらほら人が増えてきた。
15時になる頃にはハットは人でいっぱいに……さっきまでの快適さは何処へやら。若者グループ1と若者グループ2、それからおばちゃんグループに韓国人の登山グループでしっちゃかめっちゃかのハットになってしまった。
あまりの盛り上がりに居辛さがMAXになったので寝袋にこもります……
ダウンロードしてきておいた動画を見て、またお絵かきをして、それからどうしようかなあ……と思っていたら、隣にカップルがやってきた。「ここ空いてる?」って。
三枚マットレス×三段ベッドが二つある部屋が二つある(つまり36バンク)割と大きなハットだったんだけど、やっぱり今日満席なんだなあ。
「空いてるよ〜」というとそこに入ってきた。あまりフレンドリーではなさそうなので挨拶だけしてまた自分の時間に戻る。
ところがしばらくすると今度は韓国人のおばちゃんがやってきて「ここ空いてる?」って。
いやいや、ここ3マットレスで、もうすでに3人いるじゃん! って思ったんだけど、「私たち二人で一緒に寝るからいいよ」ってカップルが譲ってあげていた。
やさしいじゃん……フレンドリーじゃないって思っていてごめんね。(優しさとフレンドリーは関係ないね)
ところがなぜかおばちゃんはなかなか入ってこず、他の仲間と相変わらず話し合いを続けている。
韓国語だったから分からないけど、グループの中に旦那さんがいるのかな?
一緒に寝たいのかなんなのかわからないけど、こっちをちらちら見たり、二段目で我慢するかどうするかとか話していて、もう〜〜〜〜〜〜〜!!!!
どうやら私がいた一番下の一段目は人気の場所らしい。確かに、みんなバックパック重いから上のほうに行きたくないよね。おばちゃんたちは特に。
私は上でも全然構わないので、ここどうぞ〜って上に移動した。
なんて優しいんだ! って言われたけど、あんなにチラチラされたらね……
二段目には中国の男の子がすでにいたので、一番上の三段目までいくか〜と思ったんだけど「いやいや三段目なんて高すぎる、二段目で寝なよ!」とおばちゃんに無理やり二段目に押し込まれて私は中国人の男の子の隣で眠ることになった。自由にさせてくれ……
でもその男の子、とてもフレンドリーだった。私と一緒で一人みたい。そしてめちゃくちゃ話しかけてくるいい子だったのでよかった〜
すごく話しかけてくれるうえに、私の英語を気にしないで話してくれる。それが嬉しくてたくさん話した。オークランドで空間デザイナーをやっているらしい。
夕日を見にいくから一緒に行こうよ、って言われた。……こんなに曇っているのに? 見えないと思うから流石に断った。
キッチン&リビングの方では宴会が始まっているのか? というくらいのにぎやかさ。さっさと歯磨きをして寝てしまおう。
中国人の男の子、豪くんは夕日を見に行ったので、私は歯磨き。うがいをしにいくタイミングで外に出たら豪くんがまだいて、また話しかけられた。
めちゃくちゃ喋るじゃん。
今敏が好きらしく、その話や映画の話やいろいろしてくれた。
しばらく話してから寝室に戻ると、さっきの(フレンドリーじゃないけどやさしい)カップルに話しかけられた。
彼らはリトアニアから来たワーホリ 組で、私より五歳くらい上のアグネスとベン(リトアニア語の本名は難しすぎた)。
この先にあるヘイスティングというところでしばらく働いていて、最近車を手に入れて北島一周をはじめたんだって。
この周りのことに詳しいみたいで、いい場所をいくつか教えてくれた。
そして何より彼らが教えてくれた最重要情報は「ワーホリビザが伸びるかもしれない」という話題。
私はちょうど昨日ビザ管理局から「あなたのビザもうすぐ切れるからね〜〜覚えててね〜」というメールを受け取ったばかりだったんだけど、彼らがいうにはビザが半年のびる記事が一昨日あたりに出始めていたそうだ。
アグネスはすごく親身になって私のメールを読み、いやでも絶対ビザは伸びるから飛行機は取らない方がいい、電波のあるところに着いたらすぐにその記事を送ってあげるから! と約束してくれた。優しい。しかもフレンドリーだ。
普通にいいカップルだった。
キッチンから戻って来た豪くんも加えて四人で少しお話しして、暗くなってきたら就寝。
ものすごく疲れているわけではなかったけど、寝袋に入ってじっとしていたら眠れた。
明日は風が止んでいるといいな~
【北島一周】今までで一番英語を喋った日【51日目】
なんでもない駐車場で迎える朝。今日は一日中雨だと思っていたのに、窓から光が差し込んできたから今日も早起き。
まだ町も起き切っていない朝6時半、なんとなく散歩をしたい気分になって町を歩いてみた。
治安が悪いって言われてきたけど、きれいでいい町だよなあ。
町の入り口には木製の可愛い灯台。(海じゃなくて川沿いにあるのはどうしてだろう。 小さな川なのに……)
そしてその川沿いには散歩道とお店たち。
このくらいのサイズの町って可愛くて大好き!
早くから開いているカフェみたいな場所に、マオリっぽいおっちゃんたちがたむろってた。
川沿いのベンチには倒れ込むように寝ている人がいる。オレンジ色の服を着た清掃係の人たちがゴミ拾いをしたりゴミ箱のゴミを回収したりしている。こうやって町の朝が始まるんだなあ。
そして気づいたんですけど、もしかして今ってめちゃくちゃ春ですね……???
気づかないうちに桜が葉桜になりかけている! 花粉症がなかったから春って気がつかなかった……
車に戻って絵を描く。スマホをくれたリリヤと先日誕生日を迎えた妹へ似顔絵をプレゼントしたかったのだ。ちょっと遅くなっちゃったけど、いいよね。絵を描いて、花札をして、車の掃除をちょこっとして。そうこうしているうちに十時になった。図書館の時間です!
今日は、明日から行くことにしたワイカレモアナについて調べます。
三日後は雨みたいだけど、明日と明後日は晴れみたいだから、ちょうどいいでしょう。次に晴れるまでだらだら待つよりも、この二日間の晴れにかけてもう行っちゃおう。
これが今回のコースです! 面白い湖の形だな〜
普通は3泊4日で行くコースみたいだけど、今回私は2泊3日で頑張ることに決めた。
2泊3日にすると、20km歩かなければならない日があるのでちょっとドキドキする。だけど多分大丈夫。
前回の一泊二日の山登りで気づいたんだけど、一人の時の私はただただ黙々と歩くから、そんなにスピードは遅くないはずだから。(誰かと一緒に喋りながら歩いていると、信じられないくらいの遅さなんだけど……)
情報を手に入れるためにいくつかのワイカレモアナ歩き日記を読んで、公式サイトやDOCサイトも読んで、どんな道なのかをイメージする。それらをまとめて地図を作って、道のりやしなければいけないことを頭に入れて、準備は万端。全部で五つあるこやのうちのどれに泊まったらいいか、とか結構悩んだんだけど、それもちゃんと決めることができた。
そんな風にあれこれ調べていると、不意に司書さんに声をかけられた。ちょっと前に挨拶だけしたおっちゃん司書さん。
「やあ、調子はどう? 君は白い車に乗っている子だね? 一人なの?」
「うん、そうだけど……なんで知ってるの?」
「昨日も図書館に来たでしょう、一日中いたでしょ。それにさっき車に乗ってる君を見かけたから」
「ああ、なるほど……(ちょっと恥ずかしい)私ね、明日ワイカレモアナを歩くつもりなんだ! それで色々調べていて……見て見て、地図描いたの」
声をかけてくれた彼の名前はトニー。
仕事中のはずなのに、トニーは私の隣に座って、私たちはしばらく色々話していた。地元の人ならワイカレモアナについても詳しいかと思ったけどそうじゃないみたい。
全部歩くには途中で小屋に泊まる必要があってね、多い日には20km歩くんだ、っていろいろ説明したらめちゃくちゃ心配された。
「君が!? 一人で!? 大丈夫なの!? アップダウンのない道なの??」
「多分大丈夫。フラットな森みたいだし、私15kmまでなら歩いたことあるから。それに頑丈な脚持ってるから!」
ニュージーランドのこと、日本のこと、三週間前にこの辺にできた寿司屋のこと、お互いの仕事や生活のこと……たくさん話して、楽しかった。それはトニーも同じだったみたいで、もうすぐ休憩時間になるからよかったらお昼ご飯は一緒に食べようって誘ってくれた。わ〜……! だけど私はつい断ってしまった。英語が苦手な私と一緒にご飯を食べても楽しくないんじゃないかな……って思っちゃって。うーん、もうすぐ出発しないといけないから、って言っちゃった。だけどその断り文句がうまく伝わらなかったみたいで、もう一回誘われる。「うん? 僕の仕事はもうすぐ休憩になるから、そこらへんでお昼ご飯一緒に食べようよ」その瞬間、あ、この人は多分私の英語がぐちゃぐちゃでも気にしない人なんだな、って気づいた。っていうかここまでも散々ひっちゃかめっちゃかな英語で会話をしているんだから、そっか、気にしなくていいんだ。そう思ったら急に勇気が湧いてきた。いつもならしないことに挑戦してみる気がした。
「うん、じゃあお昼を食べながらまた話そう! 楽しみ!」 一瞬で吹っ切れて、そう言った私の顔は絶対にいい笑顔だったし、嘘偽りなく本当に楽しみだった。
トニーの仕事が終わるまで待つ間、ワイカレモアナについて調べる作業に戻る。
ワイカレモアナ湖トラックは一周じゃなくて半周。半周したらそこから水上タクシーを使ってスタート地点に戻るのが一般的だそうだ。嬉しいことに、ちょうど昨日からコロナの影響で営業を中止していた水上タクシーが再開していた。よかった〜! もし水上タクシーを使わないとなると、来た道をただ引き返すことになる。片道約50kmなので、往復100km近くも歩くことになる……それはちょっと遠慮したいです……
水上タクシーの予約は電話かメールだったので、迷わずメール。電話は難易度が高すぎです。ところがやりとりをしていくうちに、支払いのために電話をしなければいけないことがわかってきた。「本当にごめんなさい、私喋るのが苦手だから、できれば現金払いか銀行振り込みがいいです〜!」……ってお願いしたけど無理だったのでしょうがなくドキドキしながら電話をかける。英語で電話なんて、財布を探してお店に電話をした時以来だ。その時は全く伝わらず無言で切られたんだったなあ。そしてそれ以来トラウマなんだけど、しょうがない。支払いができないと行けないんだもの。意を決して電話をかける。大丈夫、きっと大丈夫。さっきトニーとも話せたし、大丈夫!
忙しいようでなかなかつながらず、三回かけてやっとつながった電話。ドキドキしながら話し始める。
「こんにちは。水上タクシーのお金を払いたいです。」
「Kia ora〜(マオリ語でこんにちは)オッケー、あなたの名前は?」
「……ミユキです」
「あっ、あはは」
いや、なんで笑うんだよ。この人絶対メールでやりとりしていた人だろうな……私が英語下手で電話嫌がってることを知っているに違いない。うう……
だけど彼女はとても優しかった。はっきりとゆっくりと英語を喋ってくれて、私の英語もちゃんと聞き取ってくれた。それでも私は時々聞き返してしまったけど、その度にゆっくり喋ってくれる本当に優しい人だった。そうしてあっという間に支払いが完了。予めメールでやりとりをしていたから、予約の再確認とクレジットカードの番号と有効期限、名前を言うだけの簡単なやりとりだけだった。
「えっもう終わり? オールグッドなの???」
あんまりにも呆気なく終わったのでびっくりしていると、電話越しの彼女はケラケラ笑った。
「おしまいよ〜よかったね! 楽しんで〜」
わ〜いっやった〜! 初めて英語で電話ができた!!!
あんまりにも嬉しかったので、改めてお礼のメールまでしてしまった。ありがとう。30分の水上タクシーに60ドルも払いたくねえって最初は思っていたけど、こんなに優しくて最高なサービスを提供してくれるなら喜んで払います!
それから小屋も無事予約できて、準備の第一段階が整いました! よかった〜とりあえず一安心。
そして一時になって、トニーがやってきた。
「お待たせ! じゃあ行こうか。さっき話した寿司屋かKFC、どっちがいい?」
「うーん、じゃあ寿司屋!」
選んだのは、トニーとさっき話していた寿司屋。最近できた寿司屋があってコリアンが経営してるっぽいんだけど……君はニュージーランドの寿司好き? あの寿司は日本の味と一緒なのかな? って聞かれたのだ。だけど私は外国のお寿司を食べたことがない。そう言ったら、食べてみるべきだよ! ってめちゃくちゃオススメされた。そしてそのお寿司屋さんに早速連れて行ってくれることになった。やったね。
初めて入る海外のお寿司屋さん。オーペア先のお父さんが海外でのお寿司は基本的には巻寿司だって言っていた通り、巻寿司がズラ〜っと並んでいる。そしてその隣に並ぶのは、おもちゃみたいな寿司達。
takoyaki、ebi、onigiri……見覚えのある日本語が並ぶものの、これは絶対に寿司じゃない。唯一寿司っぽかったのはシャリの上にサーモンが乗っているものだけ。基本的には揚げた何かが載っている。揚げ魚、揚げ豆腐、揚げチキン、謎の物体、揚げえび、などなど……
「トニーの言った通り店員さんは韓国人だね。でもこのtakoyakiは日本語」
「あ〜、それは先週食べた。柔らかかった」
そこにはたこ焼きを二つ串にぶっ刺しただけのものが並べてあった。謎だ。
一応日本食をイメージはしているようで、店内には日本の小物が置いてあったり、日本語が書いてあったりする。
だけど私はアジアンだからわかる。この店員さんたちの顔はコリアン。しかもさっき、コーヒーのことを「コピ」って言っているが聞こえた。それは旅館で働いていた時に同僚だった韓国人のヘイリンがよく言っていた言葉。
ズラ〜っと並ぶおもちゃ寿司達が可愛くて、どれにしようか悩んだ挙句、私は揚げライスボール串とよくわからない魚フライ寿司、それからアボカドチーズみたいなお寿司を選んだ。
コーヒーも飲みなよ、って言われて久しぶりにフラットホワイトも注文。
君もいつか誰か旅人に奢ってあげるんだよ、そうやって回っていくんだからね、って言われた。うん、私はその考えが大好き。
お寿司を食べながら、さらにいろんな話をした。年齢を聞かれて、23歳だって言ったらびっくりしてた。
トニーには25歳の子供がいて、孫もいるそうだ。
一人で車旅をしているから30歳くらいかと思ったよ……って感心されて、同じくらいたくさん心配された。親は心配していないのか、昨日はどこで寝たのか、あの駐車場で寝るなんて信じられない危険すぎる! って。はーい……
トニーはすでに奥さんとは別れていて、今のガールフレンドはフィリピンにいるらしい。国境が封鎖しているから会えなくなってしまい、とても寂しいんだって。海の向こうにいる、いつ会えるか全くわからない恋人。国籍が違うだけで、どんなに頑張っても会えなくなってしまった恋人。そっか、そういう恋人たちが今世界中にたくさんいるんだなあ……と切ない気持ちになる。そして同時に、なるほど……と私は納得していた。
恋人がフィリピン人。だからこの人はこんなに楽しく私と喋れるんだ。やけに多文化や外国人に理解があるのは、トニーの恋人が外国人だからなんだ。そう思ったらすごく納得できた。
もちろんフィリピン人は英語が喋れる人が多いから、トニーが英語の苦手な人に慣れているということではない。でも、発音の違いとかを気にしない、英語が苦手だったり文化が違うことに抵抗感がない、というのはこういうところから来ているのかもしれない。
トニーはガリに挑戦して、あ〜無理だ〜って苦い顔をしていた。
豆腐の寿司にも挑戦したけどあんまりだったみたいだから半分もらった。揚げ豆腐、久しぶり。美味しい。
私は当たり前のように端を使ってお寿司を食べたけど、トニーは手で食べてた。箸いらないの? って何気なく聞いてから、いや違うこの人たちは箸を使わないんだ! って気づいた。僕にはそれは難しすぎる……とトニーは言った。なるほど、そういえばここはニュージーランドでした……
英語でこんなにゆっくり人と話したのはカレンの家で過ごしていた6月以来。約3ヶ月ぶりの英語は思っていた通りずっとずっとずっとダメダメで、だけどトニーと喋ったおかげで一つだけ思い出したことがある。
私がどんなにひどい英語を喋っていたって、気にしない人は、気にしない。
そうだった。ここ最近、伝わらないこととかすぐに会話を切り上げられちゃうことが多くて忘れていた。思いを込めて話せば、聞いてくれる人にはちゃんと伝わるのだ。
一時間の休憩時間、めいいっぱいおしゃべりをして、ハグをして別れた。月曜日にまた会おうね、写真撮ってきてね、またね、って。
出発する前にお店に寄った。車を停めていた通りの向かいにある、昨日から気になっていた古着屋さん。
のぞいてみたら、可愛いスカートみたいなのがあった。
いや、これはスカートじゃなくてただの布か……? と手にとって悩んでいると、店主のおばあちゃんがやってきた。
「これ可愛いんだけど、なんだろう?」
「テーブルクロスだね」
「あ〜……スカートかと思った。可愛いスカートだなって思ったのに」
そういうと、おばあちゃんは大きなビニール袋を取り出して私に渡す。
「スカートなら店の外にあるよ。この袋いっぱいで10ドル。通りにあるものなんでも詰めていいよ。後レモンも持ってって」
えっ、この大きなビニール袋いっぱいで10ドル!? それは破格すぎる。いや、でもそんなにいらないんだけどなあ……と思いつつも一応袋を受けとって通りに置いてあった洋服を眺める。好みのスカートはなかったけど意外といい服があったので買うことにした。
「それだけでいいの? もう少し見てなさいな。あんた旅人? 何して過ごしてるの?」
「じゃあこの人形も買おうかな……えっと、今は北島回ってて、明日ワイカレモアナにいくの」
「ワイカレモアナ! あそこは寒いよ。ジャケット(セーターのこと)が必要だ、もっと持って行きなさい」
結局袋をいっぱいにすることはできなかったけど、ズボンを二枚とセーターを一枚、カーディガンにマフラー、人形、帽子などを買ってしまいました。最近ずっと同じ服でちょっと飽きてきた所だったし、春だし、いいよね。
それからスーパーで湖歩きのための買い物をする。トニーと話してからというもの、英語で喋ることに抵抗感がなくなっていて、迷うことなく自然に店員さんと話すことができた。ガス缶ありますか? って。簡単な質問なんだけど、いつもはためらっちゃうんだよね……そしてやっぱりスーパーにはやっぱりなかったけど、代わりに売っているお店を教えてくれた。よかった〜こういう小さい町だと、どの店に行けば置いてあるのか私にはわからなかったのです。チョコバーやパンなどの買い物を終えて、ガス缶を買いに別のお店にいく。ガスは入ってすぐのところに置いてあった! 早速ガスを持ってレジにいく。
「いらっしゃい〜ガスだね、キャンプするの?」
「うん、明日ワイカレモアナに行くんだ!」
「あ〜それはいいね。綺麗なところだよなあ」
明日からの湖歩きが楽しみな気持ち、そしてトニーと過ごしたお昼が楽しかった気持ち。その二つの嬉しい気持ちがにじみ出ているのか、どこに行っても自然と会話ができる。にこにこが止まらない。久しぶりに、ふわふわした嬉しい気持ちでいっぱい。
治安が悪いからよくないよって言われたこの町で、私は今までで一番ひとと話して楽しい気持ちでいる。この嬉しい気持ちのまま、明日のワイカレモアナも楽しめますように!
公園で水を汲んで、WiFiを使って湖歩き用の音楽をダウンロードしてからワイロアを出発。明日から歩き始めるから、今日は湖畔のフリーダムキャンプ場で一泊するのです。
一時間ほど車を走らせて、ここで本当にキャンプしていいの? っていうくらい何もない場所に車を止める。最終的に二台の別の車が来たけど、そこまで一人でちょっと不安だった。でも大丈夫そう。今日はここで寝ます。
夜、雨が降ってきた。
風も強くて車が揺れる。
今までに体験したことがないくらいめちゃくちゃに揺れるので不安になって何度も起きてしまう……
明日は本当に晴れるんだろうか。心配になってしまう。朝起きたらぴっかぴかの空が待っていますように!
【北島一周】ちょうどいい進み具合の日【50日目】
マヒア半島で迎える二日目の朝。もうこの地域ですることもないので、朝起きたら芝生の上でストレッチだけして早速出発することにした。
今日もとってもいい天気。晴れの日は運転していて楽しいな〜
図書館のあるワイロアまでは約40分。途中でちょっと道を逸れて、洞窟探検に行くことにする。
砂利道の脇に車を停めて、いざ洞窟探検……なんだけど、本当にここであってるのかしら。
そう思っちゃうくらいの牧場が広がる。ここに洞窟……?
逃げていく羊を眺めながらマーカー沿いにひたすら歩く。すると、牧場のなかに突然森と洞窟が現れた。
本当にあった!!
しかも結構大きな洞窟です。長靴を履いてきてねって書いてあったからちゃんと長靴履いてきたしヘッドライトも持ってる。いざ探検です。
誰もいないけどあんまり怖くないな。
ここはグローワームがいるわけでもないただの洞窟。
水溜りと泥の中を進んでいくと梯子があったので登ってみた。
するとそこにもまた穴と道が!!
これは流石にちょっと怖い。でも周りがとってもきれいだ。
先に続く真っ暗で狭い穴道を進む気にはなれず、引き返しました。
私には冒険心があまりないので……
小さな男の子とかは喜んで行きそうだな〜
もう一つ先の梯子も同じような感じだった。洞窟って何が楽しいんだろうって毎回思いながら行くけど、なんとなくそこそこ楽しい。
暗くて冷たくて、光を当てると周りの様子が見えて、白い石の壁がきれいで。冒険心があれば多分もっと楽しい。
私はただ、そこに何があるんだろうっていう興味だけで洞窟の入り口を覗くだけなんだよなあ。そしてこの場所に行ったっていう絵を地図に描きたいだけ。我ながらちょっと変な楽しみ方だなあと思う。その場所自体への興味よりも、地図に印を残したいだけっていう……不純な動機にも近い。
まあ何はともあれ洞窟探検を終えました。子供を連れてきたい場所でした。
だけど牧場の真ん中にこれがあるっていうのが面白いよなあ。
昔はきっとここら一体全部森だったんだろうなあ。
気が切り倒されて牧場になっていく過程で、この美しい洞窟だけは残されて、今ではみんなが愉しめるように解放されている。
確か千年以上前からある洞窟だって書いてあったな。あっという間だったけど結構楽しかった。
帰り道、柵を挟んで群れからはぐれた子羊がメーメーずっと鳴いていて、とてもかわいそうだった。
こっちだよ〜ってゲートを開けてあげたけどやっぱり来ない。
開けっぱなしにはしておけないのでまた閉じちゃった。いつお母さんに会えるんだろう、あの子は。
車に戻ってアボカドを食べていると、めちゃくちゃ大きな重機がやってきて目の前で止まった。
ここの持ち主の牧場主かしら。
わからないけど、フレンドリーなそのおじいちゃんとしばらくお喋りした。
めっっっっちゃくちゃキウイ訛りが激しくてほとんどわからなかったけど、なんとなく相槌を打ったりコメントを返しているだけでその場が成立していて面白かった。面白かった、というか、いやあもうちょっと理解できるようになりたいな……と悔しい気持ちもありつつ。
そこから次の町へ向かい、図書館へ。
ギズボーンの図書館はほとんど使い物にならなかったので、久しぶりに満足のいくようにWi-Fiが使えます! やった。
そしてそのまま一日図書館にいました。何したんだっけな。
ただの駐車場だけどキャンプOKになっていたので一晩お邪魔します。
治安が悪いって言われていたから警戒していたけど特に怪しい人もいなくてよかった。
ストレッチをしてからお散歩&洞窟探検、そして図書館でのんびり過ごす一日。
移動ばかりして疲れた一昨日や、無理に休もうとしてよくわかんなくなっちゃった昨日に比べて自分のペースで動けていい感じ。
一人旅なんだからもっと好きに行けばいいのにね……
【北島一周】動かないって決めた日にすること【49日目】
昨日寝たのは日付を過ぎてからだったのに、今日もちゃんと6時に目が覚めた。 久しぶりのフリーダムキャンプ場で迎える朝はピッカピカの晴天です!
昨日たくさん動きすぎたから、今日は何もしないって決めている。そうでも決めないと、ただただどんどん動いて疲れちゃうから。疲れちゃうのに進むのを止められなくて、あとで後悔するから。
だけどやっぱり、何もしない時間が私は苦手だ。
何かしたくなっちゃう。どこかに行きたくなっちゃう。
もちろんそういう時間に絵を描けばいいんだけど、バッテリーの劣化か充電の減りが早すぎて思うように描けないのだ。うーん。
今日一日ここにいよう、って決めたマヒア半島はとっても小さな半島。ホリデーを過ごす人に人気の場所らしい。
半島の入り口の方には人が住んでいるけど、奥の方はただただ丘のような山のような牧草地が続くだけ。その入り口遠くの真ん中ら辺にある、急に現れる森の散歩へ行くことにした。
ここにたどり着くまで森の気配なんて一切しなかったのに、急に現れる森。
中に入ってすぐにわかる、ここはとってもいいところ!
森を歩き、小さな川をいくつも超える。
朝早いからかまだ誰の気配もなくて、ただ鳥達が鳴いているだけの森。
景色のいい場所もあったので、ここで今日のストレッチをした。 約二時間のいい朝散歩でした。気持ちよかった〜
次は丘登り。20分ほどで登れる大きな丘に登ります。
階段があったり砂利が引かれていたりと整備されたきれいな道なんだけど、とにかく急で大変……
だけど景色はとてもよかった。
獣道を進むと崖にたどり着いた。めちゃくちゃ怖い。
風も太陽も気持ちいいので、ここでしばらく過ごすことにした。
しなければいけないメールが山ほどあるからね……
二週間ほど面倒くさがっていた、なくしたネックレス探しのメール。
ずっと返しそびれていた友だちへのメール。
TwitterのDMにも返信できていない。
メールやメッセージに対するこのレイジー具合、どうにかならないかな……
数十分滞在していたら、急に男の子が現れた。私がさっき怖くてすぐに離れた崖の方へ行き、そこでしばらく海を見ていた。
地元の子かなあ。こんな平日の真昼間に丘に上りに来るなんていいやつだなあ。
と思っていたら数分後にゾロゾロたくさん人がやってきた。どうやらこの辺りの地域の学校の子供たちらしい。遠足みたいな感じなのかな?
しばらく様子を見ていたけど、人が多いので退散することに。
次は海にやってきました。
私にとってのマヒア半島の見所はさっきの森と丘登りくらいなので、お昼の12時にしてもうすることがなくなっちゃった。
海辺に車を停めて、ベッドに寝転ぶ。
ここの海はそんなにきれいじゃないなあ。日本の海みたいなにおいがする。でもサーファーには人気らしい。本当かな? 平日の今日は誰もいない。
さっき丘で会った子供たちも海辺にやってきていて、ボール遊びをしたり岩場を探検していた。
私は海を眺めながらずっと車にいる。カーテンを開けて、窓もちょっと開けて、海と空と風を部屋の中に取り込みながらのんびり午後を過ごすことにした。iPadで花札をして、石を包んで、日記を書いて、絵を描いて、今後の予定を立てて……お腹が空いたらパンを焼いて食べて、バナナも食べて。ものすごく眠いのに相変わらず眠れない。ただだらだら眠いな〜って過ごすだけ。
時計を見る。まだ3時だ。何もしない、動かないって難しいなあ。
図書館だったらWi-Fiがあるし充電できるから絵も描けて、あっという間に半日過ぎるのに。
電気のないところで過ごすのって難しいなあ。現代社会にやられすぎているんだなあ……
それでも時間はちゃんと進んで、気づいたら夕方になっていた。
よし、半日海辺でだらだらできた。やった。頑張った。頑張ってゆっくり自分を休ませることができた!
こんなふうに頑張らなくとも、電波も電気も何もないところでだらだらできる人になりたいな……
夕日を見るため、もう一度丘に登った。
さっき過ごしたいいスポットには人がいたから、別のところに座って海を眺める。
きれいだなあ、空。きれいだなあ、海。
夕日が雲の中に沈んでいく瞬間の宝石みたいな赤い太陽が目に痛い。でもきれい。
沈んだ後の真っ赤な空が見たくてしばらく待っていたんだけど、雲が分厚くて思ったほど赤くならなかった。
それでもきれいだったし、この何もない半島で一日何事もなく過ごして、夕日を見て一日をなんとなく終えることができたことだけでちょっと嬉しかった。
車に戻る。
さっきパンをばか食いしてしまったから、今日の夜ご飯はなしでいいや。残りのワインだけ飲んで、布団に入ってさっさと眠ることにした。
時計を見るとまだ8時。それでも最近寝不足だったからいいよね。おやすみなさい!
【北島一周】今日の朝、世界で一番最初に焦っていたのは私だったかもしれない【48日目】
ここはニュージーランドの中でも最も日付変更線に近い東側。
ニュージーランドは日付変更線に最も近い大きな国とされているから、(本当はキリバスなどの小さな島の方が近い)実質ここで見る朝日は世界で一番最初の朝日らしい(?)。
ということで世界で一番最初の今日の朝日を見るために、朝日を見るのにいいスポットとされている灯台に向かうべく朝5時に起きて、準備を整えて、灯台へ向かった……はずだったんだけど。
はずなのに、わたしは今人生で一番の窮地に立たされている。
朝5時半、まだほとんど真っ暗なこの場所で、わたしとグラ子(車)はうっかり坂道を後ろ向きに滑り落ちて丸太にぶつかり、斜め状態で停止しているのだ……意味が分かりますか!?!?!?
もちろん悪いのはわたし。真っ暗でよく見えず、砂利道をそれて芝生でできた坂道を登ってしまい、途中で滑って登れなくなり、そのまま後ろ向きに落ちていってしまったのだ。落ちている間、本当に怖かった。後ろ向きにひっくり返ってしまうんじゃないかとハラハラしつつ、どうしようもなく、ただツルツル落ちて、ガタン! と止まった。
そして車は全く動かない。前に進まない。左にも右にも行かない。少し動くだけでどんなにアクセルを踏んでも進まないのだ。
不安と焦りの中、少しずつあたりが明るくなってくる。外に出て様子を見ると、「うわあ〜やったな」と言う感想しか出てこない。ぬかるみにハマったわけではないけれど、前輪は泥の上でただスピンしているだけ。朝早くからうるさくしてみんなを起こしてしまうわけにも行かないので、とりあえず車に戻って運転席に座ってみる。
座席の角度がおかしすぎる。
ジェットコースターの、これから落ちますよ〜〜って言う直前みたいな角度をしている。全く落ち着かない。やばいってことがひしひしと伝わるだけ。
一応スマホを見てみる。当然電波はない。
このキャンプサイトにいる車はわたしの他に3台。
これからどうなるんだ、どうしたらいいんだ、どうしようどうしようどうしよう!
何回か試したみた感じで、わたし一人ではどうしようもなさそうだと言うことが完全にわかっている。どうしよう。
とにかく落ち着きたくて、相棒のぬいぐるみを抱きしめる。
マクラメを手にとってひたすら頭を動かしながら石を包む。
どうしよう、どうしたらいいんだろう、運だけはいいと思っていたけどついにやったな、わたしとグラ子の旅もここまでか……と、どんどん落ち込んでくる。
歩いていて車の鍵をなくした時も、パスポートやカードをなくした時もここまで焦らなかった。どちらも最悪自分一人で対処することができることだったからだ。
だけど今回はどうしたって誰かに頼らなければいけない。
英語も不安だし、頼ったところでどうやってグラ子が元どおりになるのか全くわからない。
それくらいやばい状況だ、ということしか分からない……
日本だったら警察を呼ぶのかもしれないけれど、ニュージーランドでもとりあえず呼ぶのは警察でいいのか、それとも警察ではなくて直接レッカー車を呼ぶべきなんだろうか。いくらかかるんだろう。この住んでいる人がほとんどいないような偏狭の地で、どのくらい待たされるんだろう。
っていうか電波ないし。呼べないし。
とにかく誰かが起きるのを待つしかない……
朝6時半ごろ、ゆっくりと朝日が顔を出した。
本当だったら灯台に登ってみるはずだった朝日を、わたしは今窓から眺めている。あり得ない角度で。
涙が出てきそうだったけど、泣いてもどうしようもないってわかっているから泣けない。
とにかく悲しい気持ちとやばいな〜というどうしようもない気持ちでただじっと朝日を見ていると、向こうのほうでバタン、と音がした。音のする方向を見ると、泊まっていた人たちが朝日の写真を撮っているの。
ついに起きてくれた!
だけど楽しそうに朝日を撮っている今、邪魔するのは気が引けてしまう……などと考えていたら彼らは車に戻って行ってしまった。
そうだよね、わたしの車がどんなにやばい状況になってても、彼らがみているのはあくまで朝日であって、気づかないよね……
どうしよう、車に突撃するか? いや、二度寝に走ったかもしれないし、どうしよう、でも当たって砕けろだよね、いや、どうしようどうしようどうしよう、、、、
と頭をぐるぐるさせていると、トイレに向かう夫婦の姿が見えた。
よし、行こう。
緊張する気持ちでいっぱいのなか、先にトイレを出た旦那さんに声をかけた。
「すみません、わたしの車は今スタックしています。わたしはどうしたらいいのか分かりません。もし今日町に行くようだったら、警察を呼んできてくれませんか?」
そこから先のことは、とても長くてとても大変で、ここには全部書ききれない。
その旦那さん、ブルースはまずわたしの車の様子を見てくれた。そして動かそうと車のエンジンをかけて、何度も挑戦してみてくれた。奥さんであるソウも一緒に手伝ってくれた。
芝生と泥のせいでタイヤが滑って空回りしているのをなんとかするために、私たちは端に積んであった砂利をタイヤの前にしきつめた。
丸太に食い込んだ車の後ろ部分を剥がすために木の板を使ってテコの原理で浮かせた。
それらはわたしには気付けなかったこと、思い付けなかったことだった。
わたしは車の知識もなければ不安でいっぱいで頭も回らず、英語も拙くて、本当にどうしようもなくて、そんな時彼らはとにかく本当にいろいろ考えてくれて、助けてくれて、何よりもわたしのことをずっと励ましてくれていた。
夜明け直後の、とても寒い朝だった。
最初にソウに会った時、彼女は本当に不安で半泣きのわたしのことを抱きしめてくれ、寒くない? 洋服足りてる? と心配してくれた。そして、大丈夫、きっとなんとかなるよって何度も何度も安心させてくれたのだ。
私たちは3人で、約一時間近く動かすために頑張った。朝の6時半から、ずっと。
見ず知らずのわたしのために、彼らはただただたくさん助けてくれた。
砂利を引いて、車の後ろをを木の板で持ち上げて、持てる限りの全ての力で押しながらエンジンをかける。全力で押したら、滑って転んでしまった。
滑って転んだわたしを心配したソウに、ミヌキは見てていいよ! って言われながらもひたすら頑張った。
それでも、どうしても無理だった。彼はわたしに言った。
「警察よりも、ここの持ち主に連絡しよう。ここのオーナーは牧場主だから、なんとかしてくれるかもしれない。僕たちの車に乗って、一緒に電波の入るところまで行こう」
どこまでも親切で、本当に優しくて、わたしはもう泣きそうだった。
初めて大きなキャンピングカーに乗った。滑って転んだわたしは泥だらけで、申し訳なくて、だけど気にしなくていいよ〜ってソウは笑ってくれた。
そしていざ出発しようとキャンプ場の上に上がった時(私たちは下の方にいた)ふとソウが気がついた。
「見てミヌキ! こっちには若い男の子が四人もいるね……もしかしたら、彼らが押せば動かせるかもしれない」
そう言うや否やソウとブルースは彼らのところに話をしに行ってしまった。
そしてしばらくして戻ってきたソウはニコニコしながら私の手をとる。
「手伝ってくれるって! 試してみましょう!」
本当に感謝しても仕切れない……
そしてわたしたちはまた丘を下り、やばい状態のグラ子のもとへいく。何度見ても角度がおかしすぎてやばい。
そんなグラ子の状態を見た若者〜ズも「うわ〜」「やば〜」と口々に言いながら車に手をかける。
情けない気持ちと不安の気持ち。ここまでたくさん頑張ってきたのにダメだったから、きっとダメだろう。それでもやってみてくれる彼らへの感謝の気持ち。
いろんな気持ちで頭と心がいっぱいだった。ずっと。
ブルースが運転席に乗り込む。
エンジンがかかる。
3人で何度も試したけどダメだったグラ子。
力のある男の人たちが押したからって、なんとかなるんだろうか。
不安な気持ちと感謝の気持ちでもういっぱいいっぱいのわたしにソウはずっと寄り添ってくれた。
ブルースが「それじゃあ行くよ!」と叫ぶ。
「3、2、1!」
誰もが全力で頑張ってくれていた。
わたしとソウが見守る中、そこにいた全員が本当頑張って、めちゃくちゃ押して、、、
そしてなんとなんとなんと、グラ子はついに動いたのだった。
!!!!
動いた!!!!!!!!
そして一気にグラ子は発進し、ブルースの華麗な運転捌きによって、なんとなんとなんと約2時間ぶりにグラ子が走ったのです!!!!!
やった〜! という声が上がる。わたしはもうどうしようもなくて、嬉しさと感謝とずっと張り詰めていた緊張と不安が解けたあとのどうしようもない気持ちでいっぱいになって、ソウに抱きしめられながら泣いてしまった。
ありがとう、ありがとう、感謝でいっぱいです、わたしは絶対に感謝の気持ちを伝え切れないです、って持てる限りの英語を使いまくる。本当にありがとう、ありがとう、って。
今まで泣かなかったのに、もう涙が止まらなかった。
見て見てミヌキが泣いてるよ〜ってソウはけらけら笑ってた。
世界で一番最初に朝が来る場所。
手伝ってくれた四人組の若者〜ズはキウイの子が二人と、フランスとスコットランドの旅人だった。
二人が海外からの旅人だって知ったブルースは、「君たちはCOVID-19のせいでスタックしているの?」と質問した。そしてフレンチの男の子が答える。
「ワーホリだから一年間は居られるんだ、だからもともといる予定だったんだけど……ある意味今僕らはスタックしているね……実はバッテリーがあがっちゃって車が動かないんだ。それで友達が助けに来てくれたんだけど、相変わらず動かなくて……」
「「「……」」」
ソウして、優しいブルースはバッテリーが上がった彼らを助けるために、早速彼らの車へ向かった。
朝からこんなにも大変な人助けを連続ですることになるなんて……ブルースとソウに、たくさんのいいことがありますように。
そして残されたわたしとソウ。
どうしてもお礼がしたくて、言葉だけでは伝え切れないなって思ったからちょうど持っていたプルーンをあげたら笑われた。
「いらないよ。食べ物いっぱい持ってるから大丈夫。
それにね、わたし達はミヌキを助けることができて本当にハッピーなの。
だからそれでいいの。
ほら海と空を見て、今日はとっても美しい日でしょう。
私たちはハッピー、あなたもハッピー。
そしてまた灯台で会いましょう! See you soon!!」
かっこよすぎる、優しすぎる… …本当に本当に最高の人に出会ってしまった。
治安が悪いから行くのはやめといたら? とまで言われたこの場所で、最悪な状況にあって、それでも今私の心はあったかい気分でいっぱいだった。
そして約一時間後、私たちはまた灯台で会った。
「Hello again!!」
ソウとブルースを待っている間、わたしは彼らの絵を描いていた。
それを渡して、改めてお礼を伝える。
ミヌキはアーティストだったの!? 可愛い絵!! と、とっても喜んでくれて嬉しかったな〜
そして一緒に写真を撮って、ここで初めてお互いのことをゆっくり話す時間を持てた。
彼らは南島のネルソンっていう町(わたしが南島で一番大好きな町!)からやってきた旅行者だった。コロナの影響でレンタカーがめちゃくちゃ安くなったから、いい機会だな〜って思って、まだ来たことのなかったイーストケープにやってきたらしい。
いろんな話をした。
わたしはこれからヒクランギ山に登る予定だから、もう行かなくちゃ! って別れるまでたくさん話をして、最後に何度もハグして、「あなたなら大丈夫よ、気をつけて、旅を楽しんでね!」っていう笑顔と共に送り出してくれた。
本当に大変な一日の始まりだったけど、こうしてまた無事にグラ子と一緒に走ることができて本当に幸せだ。そしていつもながらとても恵まれているなあ。
以上、世界で一番最初に朝日を浴びる灯台へ辿り着くまでの道のりでした……
このあったかい気持ちを感謝を忘れずにヒクランギ山へ行こう。
ヒクランギ山は標高がとても高いから、世界で一番最初に夜明けを迎える場所でもあるとされている。(時期にもよるし諸説ある)
そしてマオリ族、特に地元のナガティ・ポロウ(Ngati Porou)の人々にとって文化的にめちゃくちゃ重要な場所かつ神聖な山なのだ。高さ1,752 mのこの山はマオリの神様マウイが北島を漁っていた時に、アオテアロアの最初の部分が海から出てきたという伝説があるらしい。
そんな山が一般的に開放されているなんて嬉しいしぜひ登りたいな〜!
このコースは初日に約四時間歩き、ハットに一泊し、朝日に合わせて二時間かけて山頂に登ってかえる一泊二日の山登り。最後の400mがめちゃくちゃ危ない上に標識がなくて迷いやすい、気をつけないといけない……けど、私ならきっと大丈夫!
とっても楽しみだ、天気も二日間快晴だし、楽しみだな〜〜!
と思っていたら、なんと、コロナの影響でハットが閉まっていた……
ええ〜……
マオリの人たちにとって大切な場所だから、ってたくさん調べたのに。
残念だけどしょうがない。
予定がなくなってしまい行くあてもなくずるずる先へ。
時系列はちょっと違うんだけど、灯台に一番近い集落にある観光地のひとつです。
ニュージーランドで一番古いpohutukawaの木を見ることができる場所。って言っても初めて聞いた木の名前だったんだけど……とーっても大きかった。そして看板が可愛かった。
車を停めて写真をとっている時、馬に乗った兄弟がのんびり横を歩いて行って、すごく不思議な気持ちになった。馬のある生活って、考えたことなかったなあ。
次は、ニュージーランドにあるキリスト教会の中でも特にマオリ文化が混じっているという教会へ。
入ってすぐにあまりの綺麗さにため息が出た。
本当に美しい……
椅子も窓も、木造でできている全ての模様が見たことのない美しさで、丁寧に作られていて、大切にされていて。
ニュージーランドで見た建築物の中でも一位、二位を争う美しさだった。
外からやってきた違う宗教をこういう形で受け入れた人たち。排除するでもなく、自分たちの文化と混ぜ合わせながら生活していたひとたち。もちろん今も。
そのことがとても美しくて、とても優しい気持ちにさせられた。
行きにくい場所ではあるけど、絶対におすすめしたい。本当にいい。
古くて長い木製の橋。封鎖されていて先には行けなかったけど、景色が綺麗だったのでお昼ご飯食べた。
次は気になっていた散歩道へ。ガソリンぎりぎりのなか数十キロ走ったのに、なんとキャンプサイトも散歩道も封鎖されていて悲しかった……
いい海辺らしいけどビーチにも行かなかった。歩きたかったなあ。
次はニュージーランドで一番長い浅橋、トラガベイへ。660mもある橋なんだって。
入り口のマオリの門がとても綺麗だった。橋の上には地元の人かな? 釣り人がたくさんいました。
橋歩きは右も左も綺麗な海できれい。そして大きな岩があって景色がとてもよかったな〜
ただ悲しかったのはここの散歩道が羊の出産の時期のために閉鎖されていたこと……!!!!!! これは超ショックでした。かなり楽しみだったのに……しょうがない。しょうがないけど、しょうがないけど……
散歩ができなかったことで暇になってしまい、ただただ進みまくります。
海辺で休憩してみたりしつつ……
本当はあと二日くらいかけて到着する予定だったギズボーンに着いてしまいました!
急に街に来てしまったので何をしたらいいか分からず、とりあえず図書館へ行くもののWi-Fiが微妙すぎたので適当に散歩。
大きな丘があったので登りました。地元の人たちの散歩コースみたい。見晴らしのいい上まで車で行けるけど、みんなひたすら道路を歩いているので私も真似して一緒に道路を歩いてみました。
道路歩き、思ったより楽しかった。陸上部の子供たちが走り込みしてて、なんか懐かしい気持ちになったな。
これがギズボーンの街か〜〜
ワインで有名らしいです。めちゃくちゃでかい街、というか市です。時計台がシンボルみたい。
でもギズボーンには安いキャンプ場がないので滞在せずに移動します!! 本当はひとつあったんだけどいっぱいだったんだよね……しょうがない。
このあとキャンプ場を求めて彷徨い、最終的に来た道を50分引き返すという阿呆をやりつつ、とにかく疲れた一日でした……
朝あんなことがあったとは思えない忙しい一日だった。
今日の移動距離は約400I'm 、運転時間は5時間越えです!!! ガソリン代バカにならないよ〜〜……
【北島一周】マオリ文化のイーストケープ【48日目】
ぴっかぴっかの青空。久しぶりだ、この感じ! かなり嬉しい。嬉しい気持ちのままキャンプ場を出発。こんなにいい日だし、今日はいろんなところに行きたいな〜
まずはルックアウトへ。歩く道もあったけど、今日は他にも行きたいところがたくさんあるからやめておいた。海と街を眺めて、ストレッチをして、一日の始まりに向けて気持ちをととのえる。
いい一日になりますように!
行く予定ではなかったんだけど、道沿いにあった看板に惹かれてよく分からないまま散歩道へ。
マオリ族にとって大切な場所のようだ。
ブッシュウォークかな? と思っていたけど、すぐに丘のようなとっても広い場所に出た。
多分だけど、昔マオリ族の人たちが会合とかに使っていた場所らしい。暑い。見晴らしがよくてきれい。マオリの人たちにとって大切な場所、っていうことを抜きにしたらなんでもない場所だった。だけど、大切な場所だって知っているだけでちょっと気持ちが違う。ここには人の気持ちや意思があるんだっていうことを実感しながらぐるっと歩いておしまい。短かったけど、いい時間だった。
北島は南島よりも圧倒的にマオリ族の文化を感じることができるけど、ここからは前にもましてマオリ族の文化が色濃くなってくるはず。わたしは外から来たよそ者で、それでも受け入れてもらえている。お邪魔している、文化に触れさせてもらっている、そのことに感謝しながら進んで行こう。そういうことを実感、思い返すことができた。
それから町から外れたところにある海辺の集落へ。ブッシュウォークと明るい道、両方を楽しめるちょうどいい長さ(約45分)のループトラック!
夜にはグローワームも見れるみたい。そのスポットには小さな滝があってきれいだった。昼間だからグローワームは全く見れなかったんだけど、それを抜きにしてもとってもいい場所。
きれいで、静かで、森がとってもいい。
見晴らしもいいし、てっぺんに何故か花壇があるのも面白かった。途中、茶色い鳥が慌てて走っていったから「ついにキーウィか!!!??」と思って、頑張って泣き声を記憶しておいたけど冷静に考えてあれはウェカだな。昼間にキーウィには会えないし、鳴き声がやけにうるさかったし……ウェカに会うの久しぶりだな〜南島ではよく会ってた。
いい場所にきました。
一言で言うなら自然の植物園。めちゃくちゃいい散歩道でした。散歩道という表現が正しいのかわからない。いい森。いい森なんだけど、30分で回れちゃうくらい短くて、しかも周りは牧場で。牧場地帯の中になぜかポツンとある森・木々たちなんだけど、本当にきれいなんだ〜
ふしぎ。しかもやけに植物の種類が多くて大変。いつも見ている植物って割と同じなんだけど、ここは本当にいろんな植物が入り混じっているから頭がついていかない。これは何!? 見たことない!! ってなるし、何より視界にいろんな植物がたくさん入り込んでくるから楽しくってしょうがない。なんだここは〜〜と言うことで自然の植物園と名付けることにしました。いろいろな植物がたくさん植わっていて、程よく整備されていて、なんだか大きなドームの中にいるような気分になってくる。
そしてこの場所のいいところは多様な植物だけではないのです。ここもマオリ族にとって大切な場所、大きな木がいくつもあったのですが、その中でも特に大切、神聖な場所とされている木がありました。二人の守護者が横に立っているこの木。英語、読めたらなあ……辞書を使いつつなんとか読んでみたんだけど、大切な場所のようだからもっとしっかり理解したい。スマホが使い物にならないので今は諦めていますが、図書館を見つけ次第ちゃんと訳します。
その後はイーストケープの玄関とも呼ばれているopotikiへ。ここが多分だけど最後の街っぽい。まともなお店やWi-Fiがこの先にはなさそうなので、イーストケープをめぐるための準備を整えます。そしてこのあたりから治安が悪くなってくる……とカレンやユリエさんに言われていたように、確かにちょっと治安は悪め。なんでそういうふうに感じるんだろうな〜白人が減ってマオリ族が増えてきている、ただそれだけなのに。町はゴーストタウンっぽくて、うるさい音楽が聞こえて、若者たちがたくさんいて、そういう小さないくつもの点が治安の悪さを感じさせているのかしら。
今後の予定について考えたかったんだけど今日は日曜日で図書館もやっていない。だから銀行のWi-Fi を借りてしばらく考え、考えに考え、迷いに迷ったんだけど、ヒクランギ山に行くことに決めた。ヒクランギ山はマオリ族にとって本当に本当に大切な山。そして、地球で一番最初に朝が来る場所とも言われている場所。道のりは険しくて、片道約7時間だという。わたしに行けるんだろうか……それでもせっかくイーストケープに来たんだから、その場所に行ってみたい。不安もあるけどそういう気持ちの方が強くなっている。
そうと決まったら山登りの準備! しばらく買い物はしない予定だったんだけど、スーパーマーケットに寄って(ここから200kmほどスーパーはない)買い出し、それからガソリンスタンドでガソリンも満タンに。ここでびっくりしたんだけど、なんとデビットカードにお金が入っていなかった。いつも使っているクレジットカードは制限で使えないし、銀行にお金はあるけど携帯電話が変わったせいで、オンライン振り込みができなくなってしまったのだ。困ったな〜……少しの現金だけが頼り。クレジットカードの支払いまではあと一週間。二ヶ月で10万円の制限、すっかり忘れていたけど結構しんどいな〜忘れてた。
そしてお腹が空いたので、超久しぶりにチップス(ポテト)を買いました。ハーフスクープで1.6ドルくらいだったかな? やけに安くてびっくりしたんだけど、量もニュージーランドのチップスにしては少なめ。だけどそれが超うれしいです、わたし一人ではハーフスクープも食べきれないので……
いつもだったらここでマフィンを買うんだけど、周りにいいお店もなさそうだし最近甘いもの食べ過ぎだったのでチップスにしてみました。海でも眺めながら食べよう〜と思って海辺に行ったつもりだったんですけど、なぜか海とは関係ない橋にたどり着きました。???
ここもすごく良さげ。マウンテンバイクで走るのが楽しいいいトラックらしいです。もちろん歩くこともできる。
わたしは車の中でチップスを食べながら花札アプリをしつつ、ちょっとだけ橋を眺めただけですが……
今日はいろんなところに行ったんだけど、それでもまだ3時! 思ったより時間があるので、ちょっと予定を変更して行けるところまで行ってみることにした。とはいえここから先はものすっごい田舎道が続く。とにかくきれいな海沿いをひたすら走るだけ。
走って、走って、走って……
基本的には山道や海沿いをひたすら時速100kmで走り抜けるだけなのですが、その中にもいくつか見所があります。
見所その1、たくさんのマラエ。
マオリ族の集会場所でもあるマラエの数が、今まで通ってきた場所と比較できないくらい多い。本当に多い。今まではポツポツあるだけだったんだけど、ここに来てからはどんな施設よりも多い気がする。多分だけど、民家の次に多いと思う。(多分……)その中でも有名なマラエがあったので写真だけ撮りました。ちょうど道路沿いだったので。この地域の人たちにとっての大切な場所。自分たちの家みたいなものなんだと思う。彫刻が本当に美しいなあ……
見所その2、海沿いの教会。
キリスト教の教会なんだけど、絶妙にマオリ文化が混ざっていてとてもきれい。
閉まっていて中は見れなかったけど、マオリの彫刻が入っている教会は初めてみた! 波の音と一緒に長い間佇んでいる教会はもちろん今でも使われている。とてもきれいだ。
見所その3、滝と橋。……があるはずだったんですが、すっかり通り過ぎました。看板があるかと思ったらないんだもの!!! よくよくレビューを見てみると、看板はなく私有地のフェンスを乗り越えていかなければ行けないらしい。うーーーーーん、地元の人たちのことを考えるとそれはあまりしたくないのでやめました。わたしの車旅の仕方は、できるだけ地元の人たちの生活や文化を尊重したい気持ちなので……この辺りの地域では特に。
はい!!!
今日は約200km走りました!! 頑張った!!! キャンプ場まではもう少しあるけど、夕日が沈んでいくタイミングで夜ご飯にした。アシカの標識があったんだけど誰もいなかったな〜今日の夜ご飯は、昨日作った玉ねぎ炒めプラスさっき安売りしていたキャベツ&結構前に買った何かの葉物をただ炒めたものにチーズ、簡単で美味しい! やったね!
すっかり日も落ちたころ、ようやくキャンプ場へ。セルフコンテインカーのみって書いてあったから警戒して暗くなった頃に来たんだけど、どうやら誰でも大丈夫みたい。一晩10ドルでトイレと調理用の小屋付き。広くて海が近いとってもいい場所。広く暗くて、どこに泊めたらいいのかいまいちよくわからず彷徨ってしまった。
【北島一周】温泉と湖、水辺の日【47日目】
今日はゆっくり寝られるなあって思っていたけど、きれいな空に起こされた。湖隣のいいキャンプ場だな〜! 本当に綺麗な朝。
ストレッチをしているときに見る景色はいつもよりずっと低い。メガネもコンタクトもしていなかったから、キラキラ光る朝露が虹色にぼけていてとっても綺麗だった。
ロトルア中心地から離れているから、このままロトルア付近のいいところを今日は巡ろうと思います。
まずは 近くにあった湖、Blue LakeことLake Tikitapuへ。
ここの散歩道を歩きたかったんだけど、休日のこともあってか割と混んでいたので湖を眺めるだけでおしまいにしました。
代わりに湖の反対側にあった別の散歩道へ。こういうブッシュウォーク、ちょっと久しぶりでとっても綺麗だったな〜ただこのトラックは湖一周の長いトラックだったのでちょっと森散歩をしただけ。でも朝のいい空気の中ちょっと歩くだけでとても気持ちがよかったよ〜
この散歩道の入り口兼駐車場はブルーレイクとグリーンレイクの間にあって、右と左で違う湖を見ることができるというちょっと楽しい場所でした。
どっちがブルーレイクでどっちがグリーンレイクか、今となっては分からないのですが……晴れていたら色が違ったのかな? グリーンレイクの周りにもトラックがあるらしいけど、個人所有の場所で湖にアクセスすることはできないそう。看板をチラッと見た感じ二つの湖は少し性質が違って、そのせいで色が違うそうです。でも私には全く同じ色に見えます!
次は今日のメイントラック、Tarawera trailへ。tarawera湖にそって5〜6時間歩くと天然温泉のあるキャンプサイトに行けるという道のりです。
天然温泉っていうかビーチを掘ると温泉が出てくるタイプの、ニュージーランドによくあるやつ……だったと思う。ここはカレンにおすすめされた場所だったんだけど、実際に来ここにたどり着くまですっかり忘れていた。だからキャンプするつもりもなかったし、休日だからか結構人が多かったので最後まで行く気にならず、私は1.5時間だけ歩くことにしました。
歩き出してすぐに綺麗な橋がありました。100年以上昔にこの近くのタラウェラ山が噴火するまで、この辺りにはマオリ族がたくさん住んでいたんだって。一度は人がいなくなった場所だったけど、今では人が戻ってきて観光地になっている。歩き出してすぐに綺麗な小さな橋がありました。
道のりの景色は結構普通。そこそこきつい山登りをしつつ、時々平坦な道を歩きつつ、、
湖もたまに見えます。キャンプサイトに行きたい人はボートツアーを予約することもできるって書いてあったからその場所かな〜
あと、謎の可愛い丸い苔があって可愛かった。
行って帰って三時間だった割には曇っていたせいであんまり楽しめなかった〜晴れのいい景色に慣れすぎてしまっていて、やっぱり晴れがいいな〜といつも思ってしまう……
一度ロトルアに戻ってから方向転換して、一般開放されている楽しいスポットがたくさんある場所へ行きました〜
まずはめっっっっちゃくちゃ熱そうやばそうな泥のプール!
硫黄の匂いも湯気も泡も、ロトルア中心地で見た奴とは比べ物にならないくらいすごい。ボゴッゴボッゴゴッってずっと聞こえている。地下から湧き出てるんだ〜って実感するし何より迫力があってすごく楽しかった。人がいなかったのもよかった。
しかもちょっと晴れてきて嬉しい。ここの硫黄の匂いはちょっと何か別のものが混ざっている? ような匂いがしてあまり好きじゃなかったけど、それでも見ているのが楽しすぎてしばらくただ眺めていました。綺麗だ〜
次はあったかい川へ。温泉であり川であり、天然温泉という言葉がぴったりすぎる場所です。
今日は休日だったから人が多いんじゃないかと心配していたけど、思ったより少なくて嬉しかった。家族や友達、カップルでくる人ばかりだからこういうところに一人で行くのって結構勇気がいるんだよね……
入ってびっくり、本当にあったかいの! ただの川だから砂も多くてそんなに綺麗じゃないんだけど、ここの場所の名前はHot&Coldっていうんだけど、その名前の通りで場所によっては冷たかったりする。場所によっては、というかあったかいところと冷たいところの境目を感じることができて楽しい。最初は貸切でのんびりできてよかったな〜
そのあとマオリの家族がやってきたり若者がやってきたりしてちょっと居心地の悪さを感じたので退散しました。でも晴れていて本当に気持ちよかった、休日なのに思ったより人がいなかったから平日に行けば貸切だったかもな〜
温泉に入ってからというものの、身体がすごく軽くて気持ちがいい。温泉やお風呂に入るのがすごく好きなわけじゃないけど、それでも元気になるんだから温泉ってすごいよなあ。
他にもいくつかいいスポットがあったんだけど、有料だったり人が多かったりなのですっ飛ばしました。緑やオレンジ色の湖があるらしいんだけど有料なんだもの……いや、場所を守るため・運営のためにお金は必要だからしょうがない。でも有料の場所には誰かと一緒に行きたいなって思う。一人だと、見てすぐ帰っちゃったりしてもったいないから。こういう時一人はちょっと寂しいっていうか残念。気にしなければいいんだけどね……
なんとなく寄ってみた場所で、綺麗な湖を見つけました。
展望台があったけど、木が邪魔でよく見えない! ここは早急に剪定するべき……
隠し通路を見つけて、無事に綺麗な湖を見ることができました。すごい色だな〜なんでだろう?
すごく綺麗だったのでしばらく湖を眺めていたのですが 、ふと足元が熱いことに気がつきました。下を見ると足元から湯気が……ここも地熱地帯か!! だからこんなに綺麗な色をした湖なんだろうなあ。足元から湯気が出ていると、噴火するんじゃないかってちょっと怖かった。だけど面白いな〜
ここは湖眺めの他にレインボー山に登ったり別の場所へ歩いたりすることもできる割と大きな場所。車上荒らしが多発している場所ってレビューで見たからあまり長く車を離れたくなくて他のところには行かなかったんだけど、湖はすぐだったし綺麗だったし行ってよかったな〜
マウンテンバイクで走ることもできるらしいから、それだったら良さそう!
一度ロトルアに戻ります。だけど行きたかったお店が閉まってた!
野菜がいいらしくて楽しみだったのでちょっと悲しい。いつかいこう。
ロトルアさようなら。
割と楽しかったです。でも有料施設が多すぎでした……
一人で来るんじゃなくて友達と一緒に遊びに来たい場所だな〜
湖がいっぱいのこの場所ともお別れです。ここから約一時間運転をして次の町、ファカタネ(whakatanehe)へ。今までたくさん湖があったように、この道沿いにも湖がたくさんあります〜〜綺麗!
途中、富士山みたいな綺麗な山を見つけた。多分パトーアキ山? Mt.Edgebumbe(なんてよむんだ)? っていう山だと思うんだけど、ちょっとスマホで調べただけでは情報が少なすぎて行きませんでした。後から知ったんだけど、登るには許可がいるみたい。
それにしてもどの湖も綺麗で、走っていてとても楽しいな〜
夕方前にはwhakataneにつき、今日のキャンプ場へ到着しました。
本当はこの町にあるいくつかの場所に行きたかったんだけど、(滝、岩、散歩道、公園)連日の寝不足のせいかものすご〜〜〜く疲れていて……
やる気も出ないのでキャンプ場に籠もっていました。WiFiがあるキャンプ場って、それだけでお金を払う価値があるよね……好き。
やる気はないけどお腹は空くので、玉ねぎを炒め、りんごを煮て食べました。この間スーパーで安売りしていたちょっと痛んでいたりんご、煮たらめちゃくちゃ美味しかった。煮るって時間がかかるから普段はあまりやらないんだけど、キッチンがあると好きなだけガスが使えるから嬉しいな〜
夕暮れ時には少しだけ散歩をしました。川沿いの土手にあるキャンプ場だったの。
とろけるようにやわらかい波の音がする中、岩場で夕日を見ていました。沈む瞬間の夕日って本当に綺麗。
車に戻るとウサギがいました。
これはよくいるノラウサギじゃなくて飼われているやつっぽい。
ここが町でよかったね……田舎だったら速攻で打たれていたよ……
近くにいる私のことは気に求めず、ひたすら草を食べてました。可愛いね。
今日のキャンプ場は17ドル。(1200円くらい)シャワーがすごくよかった……熱いしお湯の量も多いし。キッチンもリビングルームも綺麗だったな〜夜は閉まっちゃうから充電は夕方と朝しかできなかった。全体的にカウンシルが運営しているだけあって綺麗だったけど調理器具ほしいです。WiFiが車の中でも不自由なく支えて嬉しかった!
【北島一周】地熱地帯ロトルア【46日目】
気持ちと身体の限界が来た3時ごろまでまで絵を描いていたので朝からフラフラ。
せめて7時ごろまでは寝たかったのに、6時前には起こされました。
こいつによって!!!
ニワトリ。しかも、コケコッコー!!!!って高らかに泣き喚く雄鶏。
もう少し寝させてよ〜……
今日は締め切りだったので、開館時刻の9時に合わせて図書館へ。そしてそれから3時ごろまでずーーーーーーっと図書館。
図書館が開く前も、起きてからずっと絵を描いていたので身体はばっきばき。
無事終えることができたけど、一気に描きあげるのは本当に体と心によくないね……
おつかれさま記念に適当に入ったお店でマフィンを買って糖分補給をしました。(ローカルなお店の安いマフィン、おいしくなかった……)
図書館の周りは有料駐車場だらけなので、少し離れた公園に車を停めていました。
そこがね、すっごくロトルアらしい公園だった。
公園のあちらこちらからあがっている湯気、湧き出ている温泉、硫黄の匂い……
温泉っていうと雪景色とか紅葉とかを想像してしまうから、温泉と花壇って見慣れなくてちょっと面白かった。
足湯があったよ〜 結構寒い小雨の日だったので嬉しい。
でも足とか手をお湯につけると何故かトイレに行きたくなっちゃうんだよね……
これはわたしだけ? だから先にトイレに行っておかないと、もじもじしてなかなかゆっくりできない。
さて、ここ最近睡眠時間を削ってほぼずーっと漫画を描いているので、今のわたしはとっても眠たい。
眠たいのと疲れが半端なさすぎて、動けない。車に戻ってからはしばらくダウンしていました。
ここでお昼寝ができたらいいのにね、なかなかできないんです……
ただ動けなくて眠くて、ベッドの上で目を閉じているだけ。
なのに頭は冴えていて変な気分。お酒を飲めば寝れるかな? とワインを飲んでみたりするけど意味なし。
そうしてただ1時間くらいじっとしていました……。
なんか暑くなってきたな〜と空を見ると、いつの間にか雨が止んで晴れている!
まだまだ眠たいけど、身体がおかしくなってきたので散歩に出かけることにしよう。
ということで、気になっていた森へ。
レッドウッドフォレストという、セコイアの木の森。
雨上がりおかげか、とーってもきれいだった〜
空気も澄んでいて最高に気持ちがいい。雨の後でちょっと肌寒くて、だからか余計に身体の中からきれいになっていくみたいで。
わたしは少しお散歩をしただけだけど、木の間に張り巡らされた橋を歩くアクティビティや、サイクリングをしている人もたくさんいた。
あんなに大きな町のすぐそばにこんなにいい場所があるなんてさすがだな〜
日が暮れ始めてきた。わたしは昼間よりも朝と夕方の湖が好きなので、ここでロトルア湖へ。
昨日から滞在しているロトルアだけど、この大きな湖に来るのは初めてだ。
面積は80㎢と北島で二番目に大きい湖であるロトルア湖(Lake rotorua)。約20万年前、このあたりにあっら大きな火山の地下に眠るマグマ溜りが大噴火した時にできたカルデラ湖なんだって。
広いけどとっても浅い湖で、硫黄の匂いもすごい。泳ぐのにはあまり向いていなさそう。
湖の周りを歩いていると、地面から湯気が出ている場所がいくつもあった。
歩道周りにはちゃんと柵があって入っちゃいけないようになってるんだけど、柵が雑すぎて気付かない間に迷い込んでしまったよ……
ぶくぶくと泡を立てる、見るからにやばそうな泥温泉もあった。
きれいな湖はもちろん、白い湯気に硫黄の匂いがして散歩しているだけでめちゃくちゃたのしい!
暗くなってきたので適当に切り上げて、今日もDOCキャンプサイトへ。
昨日の場所のすぐ近くにある別のサイトなんだけど、こっちのほうが正直何倍もいいところだった。
トイレは新しいし、飲み水あるし、ゴミ箱もあるし……これだったら1200円払ってもいいな。
いやどう考えてもやっぱり高いけど、観光地だし、払ったお金がちゃんと施設強化に使われている感がある。
日が暮れてから行けばもしかしたら〜って思ったけど、7時半にしっかりとお金回収係の女の人が来た。
「Enjoy your stay!」って言われた。最近覚えた英語の一つだ。
はーい、一晩お世話になります〜!
最初はわたしだけだったけど、夜10時ごろに車が二台増えた。
今日は絵を描かなくていいし、鶏もいなさそうだし、ちゃんとお金も払っているのでゆっくり寝よう。
【北島一周】観光地から観光地へ【45日目】
この辺りの地方で一番大きな都市で人気リゾート地、タウランガ(Tauranga)。
わたしにとってはただ超でかい商業港、工場地帯、店と道路がたくさんの疲れる町っていう印象です……
何もなくてひたすらゆったりしていたコロマンデルから来たからか、ここにいるとそれだけで疲れてしまいそう。
だけどマオリ族にとっては意味がある場所らしい。タウランガは”カヌーの停泊所”という意味で、マオリ族が初めてニュージーランドにカヌーを接岸した土地と言われているんだって。そしてマオリ族とイギリス人によるマオリ戦争の舞台でもあるそうだ。
昨日のビーチといいタウランガ周辺はきれいなんだけど、シティセンターはもう都会すぎてだめだめ……
なんとなく寄ってみたオーガニックショップも高すぎてだめだめ。
人気の観光スポットの一つである山に登ろうと思っていたけど、その山が中心地にあるってことを知ったらそれすらなんか興味がなくなってきた。
ということで少し離れた丘に来ました。
歩きやすいように舗装された道をひたすら登るだけ。想像以上に登りで朝からしんどかった……
地元の人たちにとってはいい運動スポットのようで、たくさんの人とすれ違ったよ〜
颯爽と歩いて行ったり走ったりしていく姿、かっこいい。
汗だくになりながら約30分で頂上にきました!
都市から離れるとやっぱり落ち着く。気持ちのいい場所だけど風が強すぎて吹き飛ばされそうだった。
たくさんの散歩道がある大きな公園に来ました。
滝やグローワームが見れるトラックと、見晴らしの良さそうなトラックを選んで少しお散歩。
結局いつものことながらめちゃくちゃ迷ってしまって、色んなトラックを歩きました……
すごくきれいな森だったな。
滝のそばには青いTuiもいて、綺麗な声でずっと鳴いていた。
彷徨いながら公園中を歩き回っている間にみつけた幾つかのかわいい。
松ぼっくりがでかすぎてびっくりした。
公園とはちょっと離れているけど、公園の名前にもついている滝はこんな感じでした。
大きな橋があって、観光名所みたいになってた。
滝の方まで歩いている人がいたけど私はあまり興味がなくて、滝と一緒に彼らの写真を撮っておしまい!
この色、すごくない……?
砂利道を歩いてしばらくした頃、急に隣にこんな色をした川が出てくるから思わず「え??」と声が出てしまった。
めちゃくちゃ透き通ったきれいな泉と川なのは間違いないんだけど、どうしてこんな色になるんだろう??
独特な水草と合わさって、異世界感がすごい。
しかもこの日は曇りだったんです。なのにこんなに青緑の色をしていたんです!
不思議だ〜……きれいだ〜……
飲めるかどうかの表記がなくて不安だったので、ペットボトル一杯だけ汲んでみました。
普通に飲めたし美味しかったし、今のところお腹壊していないので大丈夫っぽい。
この泉から湧き出る水たちはニュージーランドのボトル入り飲料水のうちの約60%を占めるらしい。
だっておいしいもの。すごいな〜
散歩道は結構長いみたい。私はこのきれいな泉と川が続く限りだけ歩いて駐車場に引き返しました。
散歩道のはじめとおわりに駐車場があって、わたしは終わりの方のあまり知られていないけど泉に近い方に止めたのです。
本当にきれいな場所だったな〜!
泉を見た後は一気に長時間移動をしてロトルアに来ました。
ロトルアは地熱地帯で温泉で有名なところ。
温泉=田舎町の日本人頭をしてやってきたのですが、めちゃくちゃ観光地でびっくりしました。
どこを見てもお店だらけ!! お金のかかるアクティビティだらけ!!
ええ〜っ……と驚きつつ、ここで何をしたらいいのかイマイチわからず、とりあえず図書館に行ってロトルアのことを調べることに。
この写真は図書館じゃなくて観光案内所です。きれい。
ロトルアについて調べつつ、実は明日大きな締め切りがあるので閉館時間まで絵を描きまくりました。
夜は近くのDOCキャンプ場へ。
湖横のキャンプ場なんだけど、飲み水はないし水洗トイレじゃないしうーーーーんって感じだった……
そういうところにばかり泊まってきているけど、でも、こういうただの駐車場に一泊1200円も払うのはちょっと嫌すぎる!!!!
同じ値段で無料シャワーやリビングルームがついているキャンプ場がいくつあることか……
このお金がちゃんと施設に反映されているならまだしも、こんなただの駐車場で……
ロトルアはお金持ちのための観光地なのかなあ。うーーーーーん……
とりあえず車にこもってひたすら絵を描きます。うーーーーーーーーん……
【北島一周】しっちゃかめっちゃか大移動の日【44日目】
昨日、特に大した用事もないのに一日中コロマンデルに留まっていたのは理由があった。
……んだけど、その理由が一ヶ月後に急に伸びてしまったのでついにコロマンデル半島ともさようならです!!
昨日の夜地図とにらめっこしながら考えたわたしの計画では、こうすると上手に全部回れる。朝から早速出発です〜〜〜
一気に下まで降りて一瞬図書館に寄り、今日行く場所の確認をしたらそっちの方向に向かって出発! 約一時間の道のりです!
……と思ったら通行止めでした!!
30分・35km近く走ったのに通行止めで折り返さなきゃ行けない……
時間とガソリンの無駄が半端ない。しかも山道……
うう……確かに一瞬見たよ、電光掲示板にROAD CLOSEDって書いてあったけど、だったらもっと何回も看板出して欲しい!! 一回しか見なかったし詳しいことも書いてなかったから行けるかと思っちゃったよ。超メイン道路だから……
悔しかったので、さっきは素通りしたルックアウトに寄ってみました。
ブッシュウォークからの見晴らし場所。行って帰って15分くらいの道のりの上に曇り。いつもの白いやつが少しぼろっちいところだけがかわいいところ。
は〜〜〜なんか疲れちゃった。
いつのまにかコロマンデル半島もおしまい。ワイヒという町に着きました。
ニュージーランドで最も埋蔵量の多い金鉱があるところなんだって。
「Heart of gold」って文字が街のあちこちに。この間歩いた、金が取れた渓谷のすぐ近くだもんなあ。
金がたくさん取れたことはものすごく栄えていたんだって。
マーサ鉱山という、一時期は世界的に有名だった鉱山に行ってみました。
鉱山の周りを一周ぐるっと回れるみたい。でもそんなに興味ないので、ちょっと眺めただけ。
この鉱山、すごく大きくて赤茶色が綺麗。
ここから山のように金が取れたなんてすごいなあ。今も少し機械があるみたいだから取れてるのかな?
町にきたついでに近くの図書館へ。
充電しながら今日はこれからどうしようかな〜と調べ物。
すると突然向こうの方から赤ちゃん連れ女の人がやってきて、「充電器貸して! 一瞬だから、テキスト打つだけだから!」と必死に言ってきた。もちろんいいよ〜と貸す。(最初聞き取れなくて、スマホ貸してってことかな? とスマホを差し出してしまったけど違かった)
それにしてもこの人、目は赤いし葉っぱの匂いがすごい……日本だったら考えられない…………。
わたしはソファに座っていたから、その人はわたしの目の前の地べたにべたーっと座ってしばし一緒に充電。数十分後、ありがとう!! と言ってその人は去っていった。
なんでもない一瞬のやりとりだったけど、ちょっといいことをした気分。
しばらく図書館にいたけど、せっかく晴れているので海辺に来ました。
ここはとっても良かった!
地元の人たちが集まる小さな海辺。
そしてそこから続く散歩道を行くと、また別のビーチに行くことができるんです。
海沿いの道を歩くよ〜
マウンテンバイクで走っている人たちや、にこやかに散歩をしている老夫婦、海で遊んだあとの女の子たちとすれ違いました。
すでに夕方になっていたのでわたしは一つ目のビーチまでだけ歩くことに。
1組のカップルがお散歩しているだけの広くて静かなビーチ。
石がきれい。
風が気持ちよくて、波の音がきれい。やわらかい波の音がする。
いっぱいいっぱいになりかけていた心がすうっとしていく。いい場所だなあ。
二時間くらい散歩をしておしまい。お腹が空いたので車に戻ってりんごを食べました。
夕方になったので今日行く予定だったキャンプ場へ。……行ったんだけど、着いた瞬間に「あ、ここダメだ」という直感が働いたのでやめました。
たくさん移動をして疲れ切った今のわたしに必要なのは静かに一人で布団に篭れる場所。牧場主が運営しているようなフレンドリー&ローカルなキャンプ場はちょっと今は重たすぎるのです……
どうしよう、どこへ行こう。
この辺にある無料キャンプ場はセルフコンテインカーのみでわたしは泊まれないし、いやでも早朝に出発すれば見逃される気がするし、でもでも疲れてるからこれ以上緊張したくないし、、、、と、また焦り始める気持ち。
そうこうしているうちにどんどんお店や車が増えていく。
通行止め+行きたかったところに行けない+キャンプ場が微妙、、とどんどん疲れポイントが増えてきて、運転も雑になってしまいます。
今日は二回もクラクションを鳴らされました。ごめんなさい!
そしていつの間にかめちゃくちゃ都会に来てしましました。
ここはタウランガっていうこの辺で一番大きな港町。港&工場地帯っぽい雰囲気です。
その中でなんとか安くて良さげなキャンプ場を見つけたよ〜!
時刻はすでに6時半。オフィスはもう閉まっていたけど滑り込みで入れてもらえました。ここは旅行者よりも住んでいる人が圧倒的に多いキャンプ場。みんな近くの工場で働いている人たちっぽい。キャンプ場の中なのにストリート名があったりして、みんなご近所さんみたいな雰囲気。キッチンは混んでいて、ちょっと居心地が悪かった。
でもいいのです、わたしの目的はとにかく布団に篭ることだから……
キッチンでパパッとパスタを作って、車に戻ってYouTubeをみながらだらだら。
疲れた。本当に疲れた〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!
シャワーには明日の朝入る。今日はもうおしまい!!!
距離にして200km近く、通行止めだったり道に迷ったりで実際は300km近くも移動してしまった一日でした。おしまい!!
【北島一周】コロマンデル街探索の日【43日目】
いいキャンプ場で迎える朝はとっても気持ちがいい。
昨日よりずっと元気。朝から髪の毛がさらさらだしいい香りだし。
キッチンでお湯レモンを飲んで、芝生の上で海を眺めながらストレッチをして、いい朝を過ごしました。
ここに来てよかった。いいキャンプ場、さようなら!
町にもどって、観光案内所の300MBフリーWi-Fiをいただきながらお絵かき。
それからお腹が空いたので商店(この小さな町にはスーパーがない、図書館はあるけどWiFiもない、コロマンデル半島のコロマンデル町なのに!)に行ってパンを買ってしまった。
ボイズンベリーのクロワッサンみたいなやつ。久しぶりに普通の菓子パンみたいなのを買ってしまった……体に悪い。美味しい。はあ〜〜〜
そのパンをかじりながらちょっとお散歩。
短いコースだったけどルックアウトがありました。
曇りだけどね!
さらに歩くことができるらしいんだけど、歩いたところで向こう側の道路に出るだけみたいなのでやめました。町の中にこういうちょっとした散歩道があるのってすごくニュージーランドらしいし羨ましい。晴れてる日に来たいな〜
街に戻ってちょっと探索することにした。この町、小さくてかわいいんだもの。
地元のお店がいくつか立ち並ぶメイン通りにはいつものことながらやたら多いカフェ。
WiFiと電源が欲しくてカフェに入るかすごく迷った。迷ったんだけど、何回も周りをウロウロしたんだけど、やっぱりカフェに入る勇気が出ない……
この感じ、分かる人にはわかるだろうし分からない人には絶対分からない。日本だとしてもね、チェーン店以外のカフェに入るのにすごく勇気がいるんです。だって私が一人の時にカフェでしたいことって、ただ電源と絵を描く場所が欲しいだけだから。カフェの雰囲気やコーヒーを楽しみたいわけじゃないからなんだか後ろめたくて、もちろんそんなこと考えなくていいって分かっているのに、それでも気が引けて。しかも目的が目的だから、電源があるスペースがもうすでに満席になっていたら無駄足だった〜って気持ちになっちゃう。
これがもし一人じゃなくて誰かがいたらなんの迷いもなく入るんだけどなあ。お喋りしたり、美味しいもの食べて一緒に嬉しい気持ちになったりするんだけどなあ。
一人でカフェに入る勇気が私にはまだない。勇気……勇気というか、一人でカフェに入る「頑張り・疲れ」が「楽しみ・幸せ」を上回るので、カフェにはまだ行く気がしないないんです。マフィンを買って公園で食べてる方が気楽で楽しいんです。
どの町にもあるリサイクルショップに行ったり、街をぐるっと歩いてお店をのぞいてみたりしてからまた車に戻ってお絵かき。雨が降ったり止んだりしている中、だらだら絵を描いているとどんどん車の中が暑くなって、気づいたときにはちょっと晴れ間がさしていた。
やった〜晴れた!
ということで近くの滝に行くことにした。
雨の後のきれい。しっとり濡れた森と澄んだ空気のきれい。
3分くらいで滝についちゃったけど、それでも雨上がりの空気が良すぎて満足。
その滝のすぐそばにある散歩道にも行きました。
ここがね〜本当によかったの。
ブッシュウォーク、川、深い森の道。
そしてその先にはおなじみのカウリの木。
ここのカウリの木には触れることができた。
ぎゅうって抱きついて、表面のザラザラを感じる。目を閉じて音を聞く。
木に耳をつけたら何か聞こえないかな、といつも思うけど聞こえるのは風の音だけ。
上の方で葉っぱを揺らしている風のおとが静かに聞こえるだけ。それがとても美しくて、しばらくじっとそこにいた。
雨上がりのきれいな道。光がさして、本当にきらきらきれい。
今日のキャンプ場へ。キャンプ場のすぐそばには散歩道があった。
行こうか迷っていたところだったし、受付のおっちゃんがお勧めしてくれたので行ってみることに。
もう夕方だから日がくれはじめていてちょっと寒い。それでも片道40分の道、ズンズン歩くぞ〜〜〜
と思ったらあっという間に終わった。
?
この散歩道は「ビッグ・カウリ・ツリー」っていう名前なんだけど、そんなにでかいカウリの木があったかな……?
しかも何故か海辺にたどり着いた。
?
よく分からないながら歩いていると、キャンプ場に戻りました。
???
よく分からないけどきれいだったのでよし!
今日のキャンプ場は14ドル。WiFiはなし、シャワーは有料。だから泊まるかすごく迷ったんだけど、他にいい場所がなかったので……
よかったのは海のすぐ隣に車を停めることができたので波の音を聞けたこと。後キッチンでモバイルバッテリーの充電ができたこと。
【北島一周】人とトリートメントの力【42日目】
起きた。
iPhoneが復活する夢を見た。
そして思い出した。
思いついて録音しておいた幾つもの曲、そして南島を周った時の日記が全部消えちゃったこと……この日記みたいに事細かにちゃんと書いてあった三ヶ月分の日記、それが全部消えちゃった。
iPhoneがなくなったって大丈夫って思っていたけど、それらが消えたことが悲しい。ちゃんとクラウドを活用しなくちゃね……
外を見るとやっぱり曇りなので、朝日を見に散歩に行くことは諦めた。しかも昨日の夜から続いている強風が想像以上にすごい。相変わらず車は揺れるし、寒い。
ストレッチをする気にもならないくらいの天気……ということで、拾い集めた石たちを紐で包んでいくに作業を朝から少々。
相変わらず不器用だけど、黙々と編んでいく作業は嫌いじゃない。
お昼も近くなってきた頃、少しずつ湖にも人がやってきた。相変わらず曇りだし、歩く気分でもないし、町に戻ることにする。
きれいでいい湖だった、さようなら!
やっぱり晴れだといい感じだけど、曇りだとあんまり心動かなくなってきている。確実に心が動くハードルが高くなってきてしまっているよ……素晴らしい場所がたくさんあるから、ちょっとやそっとのきれいな場所では物足りなくなってきている。
贅沢な話だな……
また砂利道を一時間走って町に戻ってきました。歩いているときによく思う、帰り道があっという間現象が起きた。車でも起きるんだなあ。
途中、少しだけ道を逸れてルックアウトへ。
曇りだからそんなに景色はよくなかったんだけど、丘の上でかわいい場所。風がものすっごく強かったんだけどブッシュに囲まれて割と居心地が良かったのでここで朝の(昼の?)ストレッチをしました。町からも遠いし平日だし誰も来ないだろ〜って思ってたのに30分のストレッチの間に4人も来てびっくりした。
町に行って、今日どうするかいろいろ考えたんだけど、とにかくとにかくとにかく眠い。
やばい眠い。あと、連日絵を描きまくっているせいで充電がない。
まだ明るいけど、こうなったらもうキャンプ場へ行ってしまえ! とまだ3時だけどキャンプ場に行くことにしました。
曇りが続いているからかなあ。なんでこんなにやる気がしないんだろう。WiFiのあるところでだらだら映画でもみたい。
なんでコロマンデル町の図書館にはWiFiも充電場所もないんだろう。本のための場所だからか……
でもそういう悩みも、ちゃんとお金を払ってキャンプ場へ行けば解決です。
フリーWi-Fiにキッチンでの充電! しかもシャワーがついて15ドル(約1000円)です!
しかもここのおっちゃんはとても優しかった。キャンプ場に来たものの相変わらずやる気が出ず、そのことにまた落ち込んでいた私。でも、キャンプ場のおっちゃんと話していたら少しずつ元気が出てきた。
話していたって言ってもほとんど聞いていただけなんだけど。彼は一人の私をすごく気にかけてくれた。
今日は一番向こうのストーニーズベイから来たよ、いっぱい歩いた。きれいだった。って言ったら、歩くの好きならこのキャンプ場の上にも散歩道があるよ、時間があれば行ってみな〜って。(雨降ってて行かなかったけど)キャンプ場の設備や私がどこに停めたらいいかも詳しく教えてくれた。本当はロッジを借りているお客さん用のウッドデッキも使っていいよ、って。そこで海を見ながらご飯を食べな!! って。
うれしい。久しぶりに人にたくさん優しくしてもらって、嬉しい気持ちになりながら車を停めて、それでもやっぱりすぐには動けなくてしばらく運転席でぼうっとしていた。
そうしたらまたおっちゃんが一人用の小さい車に乗って、様子を見に来てくれた。
まず私の駐車方法を褒めてくれて(beautifulって言ってた。そうか?)そして私の名前を褒めてくれた。(MIYUKIってすごく謎めいてきれいな名前だねって言ってた。そうか?)ここがさっき言ってたデッキだよ、いいだろう〜ってデッキの説明もしなおしてくれて、とにかく至れり尽くせりで。今日はこの周りのロッジには誰もいないから静かだよ、ゆっくりしてねって笑顔で帰っていった。なんて優しいオーナーだろう……!!
もう今日はダメだ〜〜とフラフラでキャンプ場にやってきたわたしには泣きたくなるくらい嬉しいことだった。
そしてあったかいシャワールームにはシャンプーやトリートメントも備え付けられていた。しかもecostoreっていう、わたしの好きなブランドのやつだった。
なんの気兼ねもなく使える! 嬉しい。久しぶりにトリートメントをしたんだけど、髪の毛が本当にさらっさらになって超嬉しい。
やっぱりトリートメントをすると髪って変わるし気分も上がるなあ。
あと二ヶ月もないけど買うか迷うなあ……もっと早く気づけば良かった。
リンスインシャンプーを使っているんだけど、それよりずっと気持ちが上がる。びっくりするくらい元気になって驚いた。トリートメントってすごいなあ……
それから昨日の残りのカレーにトマト缶とチーズを混ぜて、ご飯を炊いて一緒に食べました。
もちろんおすすめしてもらったウッドデッキで、海を見ながら。
おいしいカレー、やさしいおっちゃん、さらさらの髪の毛。このキャンプ場にきて良かったな〜!!
誤算だったのは、夜になったらWiFiが信じられないくらい遅くなったことと3Gもほとんど入らず、今日中に送る予定だったファイルが送れなかったことくらいですかね……