【北島一周】遠くの人と話す【15日目】
日の出が見たい!! と思って寝たからか、ちゃんと六時半に目が覚めた。
今日からは東側の海岸だから、日の出が見えるのです。
見えるはず、なんだけど……
ちょっと曇ってるね……
なんか車も濡れてるし。昨日の夜、雨降ったんだね……
どうする? 諦めてもう一回寝ちゃう?
と迷いながら車の周りをうろうろしていると、少し先に散歩道があることに気がついた。
せっかく起きたし、散歩しちゃおう!
行って帰って1時間半のちょうどいい道。
もしかしたら日の出も見えるかも。
ということで散歩に出かけました。
ゲートを潜り抜けるとまず現れたのは、
馬。
何もそんな、RPGの敵キャラクターみたいに立ち塞がらなくても……
道を塞がれてしまって、私もあちらも動けない。
えっと、馬ってどうするんだっけ。
傘をバタバタやって叫んだ方がいいのはイノシシで、目を逸らした方がいいのは猫で、目を逸らさずゆっくり後ずさった方がいいのがクマで、話しかけた方がいいのは……えーっとそれもクマだっけ。
馬は!!??
馬ってどうしたらいいの??
怖い、あの蹄で蹴られたら死んじゃう。
あの口で髪の毛を食べられたら死んじゃう。
どうしよう、でも進みたいし、どうしよう〜〜〜
迷った末、ゆっくりそろ〜り間をすり抜けました。
本当に怖かった。こっちに向かってきたらどうしようって。
馬を通り抜けて、低木の間を歩く。
あ、日の出だ。
きれい。
だけど風が強くてなんだか元気がなくなってきた。
髪も服もバッサバッサで、立っているのがやっと。
落ちたら死ぬ。怖い。
何この散歩道、怖いがいっぱい。
それでもなんとか頑張って、先っぽまでたどり着いた。
きれい。
きれいだけど風に負けそう。
いや、変に意地張ってないでさっさと降参しよう。
ということで帰ってきちゃいました。
結局1時間くらいしか歩かなかった〜!
途中パラっと雨が降って、さらっと虹も現れた。
ちなみにこれは車を停めていたところからの景色です。
本当に海のすぐ近くだったんだ〜そして誰もいない。
見えないくらい遠くの方に二台車が停まっていただけで、めちゃくちゃ広いキャンプ場をほとんど独り占めでした。
散歩の後はお金を払いにオフィスへ。
いや絶対払わないでスルーしても大丈夫そうだったんだけど、良心の呵責が……
環境省(DOC)のキャンプサイトでは、こういう紙に必要事項を記入してお金と一緒にポストに入れるセルフ式であることがほとんど。
だけど私はお釣りが欲しかったので、オフィスへ。
大抵のDOCキャンプサイトは無人なので、オフィスがあるのはとっても珍しいと思う。
声をかけると管理人のおっちゃんがいて、コイン持ってる? と聞いたらちゃんとお釣りをくれた。
(ここだけの話ですが、正直DOCサイトはお金払わなくても大丈夫っぽいです。見回りに来たときに払えばいいし、小銭がない時は見回りが来たときに両替してもらえばいい)
おっちゃんの英語は訛りがすごくてあんまり分からなかった。
今日はめっちゃいい日だよ、なんてったって晴れているからね! とか、なんか私に対してgoodだとかなんだとか言っていた気がする。
お金をしっかり払うなんて偉い子だね! とでも言われたのかな。そういうことにしておこう。
四十分ほど車を走らせてカイタイアへ戻る。
図書館で作業をして、初のzoom打ち合わせ!
図書館中を歩き回ってスピードチェックをしたんだけど、やっぱり通信状況がよくなくて二度も接続が切れてしまった。本当に申し訳なかった……
ニュージーランドで安定した電波を得るにはどうしたらいいんだろう?
最終的にWiFiを諦めて、スマホのデータ通信に切り替えたんだけど、こんなことを続けていたらお金がかかりすぎてしょうがない。
図書館のパソコンにzoomを入れるわけにもいかないし、ネットカフェがあるわけでもないし、ほとんどのフリーWi-Fiは使い物にならないし、かと言ってホテルのWiFiがいいかというとそうでもないし。
普段打ち合わせはメールや電話で行うから今まで考えてこなかったけど、車旅と複数人でのzoom打ち合わせは相性が悪いことがよくわかった。
接続がうまくいかなかったことでで申し訳ない気持ちでいっぱいになり、打ち合わせが終わった瞬間甘いものを大量に買ってしまった。
チョコレートと、ココアと、チョコレートプリン。
頭が悪いので……
甘いものを食べると心が落ち着く。
電波はダメダメだったけど、直接作り手側のお話が聞けたことは本当によかった。
自分が何をしたらいいのかもよくわかった。だから私はただいい絵を描くだけだ〜!
甘いものを食べたら落ち込むのはおしまい。
進むことにする。
まずはオークランドで知り合ったイラストレーター 仲間yurieさんオススメのお店へ。
お勧めされたのはスモークフィッシュ(サーモンだったかな?)だったんだけど、店内を見渡しても何も見当たらない。貝のスモークだけがいっぱいあるけど、魚じゃない……
いつもだったら諦めちゃうんだけど、どこからか勇気が湧いたので店員さんに聞いてみた。
「友だちが私にここのことをお勧めしてくれました。彼女は言いました、スモークの何かがおいしい。それってこのスモークマッスル(貝)のことかな?」
そういうと店員さんはあ〜っと言って、それは売り切れちゃったんだよ〜と言った。ような気がした。もしくは今日は入荷していない、のどちらか。いろいろ説明してくれたんだけど、ちょっと早くてよく分からなかったです!!
とにかくないっていうことが分かった。
そうなんだ、それは悲しいです……と言いたかったけど、英語が出てこなかった。
ショックですって日本語だったらいえるけど、英語で言うショックはもっと強そうな意味だし……
なんて言ったらよかったんだろう。
(分からないので、あぁ〜〜↓↓見たいな声で悲しさを表現しました。)
「どうする? 他のにする?」
太っちょのおばさんがニコニコ聞いてきた。
「う〜〜〜ん、今私考えています。そうだなあ、あなたのお勧めはどれですか?」
そうやってオススメを聞いたら、「え〜〜〜」と少し悩みながら色々言ってくれた。
っていうか全部説明された。
全部おすすめじゃん! そりゃそうだよね!
ということで、一番基本的だと思われるフィッシュバーガーにしました。
はあ〜おいしい。魚がサクサクふわふわ。
肉は絶対食べないが魚は時々食べる系ほぼペスコベジタリアンなので、フィッシュバーガーは食べれるのです。
生き物は時々食べるくらいでちょうどいい。
このフィッシュバーガーは14ドル。
相変わらず外食はちょっと高い。
この辺には歩けるところがたくさんある。
もうすでに夕方だから、その中でも一番気になっていたところに行ってみよう、と車を走らせる。
が、到着してびっくり。行って帰って1時間半だと思っていたら片道1時間半だった……
これは調査不足! 今から往復三時間だと、帰ってきたら七時をすぎてしまう。そうすると真っ暗だから、歩くのも危ないしそこからキャンプ場へ行くのも大変だ。
ということでさっさと諦めました。
本当に気になるので、もしかしたら明日再挑戦するかもしれない。
四十分戻ることになるけど……あと明日は天気が悪いみたいだから迷うけど……
今日のキャンプ場はここ。
いいところがうまく見つけられず、直前に決めたキャンプ場です。
ところがね、このキャンプ場がとってもよかったんだ〜!
一晩10ドルで(700円)なんとあったかいシャワー付きなんです。
10ドルで無料温水シャワー付きははじめてだ〜!
(この間の一晩停めるだけで34ドルな上にシャワーも有料だったからね……)
2分×2分の4分間だけど、充分すぎる。
水を飲むときには絶対沸かさなきゃいけないことに文句を言っている人がいたけど、私はそこも気にならないから、ただただ最高のキャンプ場!
だからか結構人もいた。
っていうかこれはみんな旅人じゃなくて、キャンプ場に車を置いて、車に住んでいる人達だろうなあ。
それでね、もう一つ最高なのはね、目の前が海っていうことなんです!
昨日も目の前が海だったけど、今日はもう目の前が砂浜。
走れば5秒で海に飛び込めそう。
散歩人や釣り人もちらほら。いい場所だ〜
夕方に食べたフィッシュバーガーが大きかったからお腹もすかず、夜ご飯はお茶を飲んだだけ。
それから百花ちゃんと少しだけ電話をした。お互いの最近のこと。彼女と電話すると、いつもなんだけど、どことなく励ましあいの電話になる。
海の向こうに、頑張っている人がいる。頑張るために頑張っている人がいる。
それは私の原動力の一つであり、励みなのだ。
だから嬉しい。そういう友だちがいて嬉しい。
頑張っている時も頑張れていない時も、どんな時もそばで応援したくなる友だち、そして応援してくれる友だちがいること。
それにしても、本当にいい時代に海外にきたな〜
国際電話なんかじゃなく、ネット通話だからお金がもそんなにかからないなんて。
これがもし10年前だったら、こんな風に気軽に日本にいる友達と話すこともできなかったんだなあ……もちろん昼間のzoomミーティングも。
海風が強くて車がさっきから何度も揺れている。
テントだったらちょっと怖くて寝れなかっただろうなあ。
だけど私には安心して眠れる車がある。
グラ子、毎日ありがとうね〜