車中泊日記inニュージーランド

【北島一周】裸のおじさん【14日目】

 毎日晴れていてとても嬉しい。
 朝起きて、昨日描いていた漫画の続きを描く。一晩寝かせてもいい感じの漫画だ。
 今日終わらせちゃいたいな〜 

 昨日からちょこちょこと撮っていた動画も完成させました。

 今日は元気だったので、海辺まで歩いてストレッチをした。

 それから真冬のコールドシャワーも浴びたんだった。
 信じられないほど冷たいので、髪の毛を洗うだけに留めておこうかと思ったけど、気づいたら全身洗ってました……
 本当に修行のような時間だったけど、気持ちがよかった。

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 冷たい体を太陽で乾かして、のんびり歩く。

 車に戻ると、珍しく見回りことレンジャーがいた。
「昨日ここに泊まったのか? お金は払ったか? 夜また確認しに来るからそれまでに払っとけよな! あばよ!」

 それだけ伝えて去っていく。
 小銭を持っていないから崩したかったのに! いきなり現れたおっちゃんにびっくりして忘れちゃった。

 こんな最果てにもちゃんと見回りに来るんだなあ。
 おっちゃんは一つ一つの車に声をかけて回っていた。

 とはいえ時刻はもう十一時。
 あと三十分遅かったら私はいなかっただろうし、おっちゃんがくる前に出て行った人もいる。
 いつものことだけど、絶対皆払ってなかったと思う……

 私はこの場所が大好きだからちゃんと払うよ。
 この最高の場所を保ってくれていてありがとう、こんな最果ての場所を管理していてくれてありがとう、っていう気持ちを込めて。

 身支度を整えて、最高のキャンプ場にお別れをして、車に乗る。
 お金を払う場所はちょうど入り口。お金を払ってそのまま出発だ〜! 

 晴れてるし風も気持ちいいし最高。
 いい気持ちで、お金の回収箱の前まで車を走らせる。

 

 すると、
 そこには、
 全裸のおじさんがいた…… 

 きゃ〜っと顔を赤くしたのはおじさんのほう。

 慌てて「sorry!」と言って顔を背けるも、いやだってわたしお金払いにきたんだし、としょうがないので車を降りる。

 また全裸おじさんと目が合う。

 おじさんは隠れるわけでもなく、隠すわけでもなく、堂々とこちらを見ていた。
 面白過ぎて爆笑してしまった。何故かおじさんも爆笑していた。

 いやいや、笑ってないでせめて前隠して〜〜!

 気にしないで! と声をかけて、急いで紙に必要事項を記入してお金を払う。
 するとおじさんが、タオルで前を隠しながらやってきた。

「ごめんね〜まさか人がいるとは。君キウイ?」
「私もびっくりしたよ……私は日本人です」

 キウイ、っていうのはニュージーランド人ってこと。
 この見た目でこの発音で……? そんなこと生まれてはじめて聞かれたよ……と思ったけど、そりゃそうか。
 ロックダウンの今、こんなところに旅行者がいるのがおかしいのだ。

 特に私のいるノースランドは、オークランドを通らないと入れない場所にあるため完全に孤立している状態。
 確かにノースランドに住んでいる人たちには会うけど、外から来た人には一度も会っていない。

 ロックダウンなのにどうやって来たの? とか、今日はどこへ行くの? とか少しだけお話をした。
 キウイ鈍りが難しすぎて、うまく話ができなかったのが心残り。

「旅を楽しんで、気をつけてね!」

 最後にそう言って元全裸おじさんは去っていった。
 ニュージーランドで全裸の人を見るのは初めてじゃないけど、(海にも川にも全裸の人はいる)あんなに真っ正面から見たのは初めてだったなあ……
 肌も髪も真っ白なおじさんで、しかも丁度太陽にあたって、なんか全身が輝いているようだった。

 いやもう本当、あまりにも全身が輝いていて、おかしくて、めっちゃくちゃ面白かった……

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昨日の夜もそうだったけど、めっちゃ滑る

 砂利道を走ること数十分、メインロードに帰って来た。
 ここからまた数十分で今日の一つ目の目的地だ。

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相変わらずの白い砂浜(飽きてきた)

 海〜

 そろそろ海も飽きて来たけど、作業場としては最高。
 海岸が見える場所に車を止めて、ゆっくり絵を描くのが大好きなんです。

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後部座席は全部ベッドなので、ソファみたいな感じ

 波の音、ちょうどいい潮風、あったかい太陽。
 大好き!

 風は苦手だけど、風の音は好き。
 安心できる場所にいながら風を感じるのは好き。

 いい場所だなあ。

 

  さて今日はどこに泊まろうかな。

 明日は初めてのオンライン打ち合わせがあるからカイタイアから離れたくない。
 まともなWiFiは図書館にしかないから、図書館のそばにいるのが一番安全なのだ。

 とはいえこの辺にいいキャンプ場はないので、40Kmほど離れたキャンプサイトへ行くことにした。
 昨日と同じような場所で、広くてトイレとコールドシャワーがあるだけのキャンプ場。

 これで15ドルは正直高すぎるけど、環境省(DOC)の管理キャンプ場だからしょうがない。 

 

 それに、こういうキャンプ場は人が少ないうえに治安がいいのだ。

 まず、お金があまりない人や悪さがしたいだけの人はフリーダムキャンプ場へ行く。
 そしてお金がある人やちゃんとした場所がいい人たちは高規格キャンプ場へいく。

 つまり、トイレと冷水シャワーだけで一晩1000円もかかるようなキャンプ場には誰もこない!
 だから広々使えて、安全で、私は結構好きなのだ。

 

 真っ暗の景色の中、
 ただ、波の音がする。
 風の音もする。強くて優しい海の風。
 外に出れば、昨日よりは少ないけれどそれでも満天の星。

 

 いい所だなあ〜〜今日も。