【北島一周】一番大きなカウリの木【11日目】
一晩泊まったラウェネは海沿いの丘にある小さな町。
朝起きて周りを見ると海が見えたけど、今日も曇り。
うーん、私は曇りが好きじゃないです……
この町にはビーチくらいしかないので(充分だけど)、どこにも寄らずに出発することにした。
図書館があるらしいとう噂を聞きつけてやってきた小さな町。
ところがそこにあるのは学校で、図書館の影はどこにもなく……
あ〜っもう、久しぶりにGoogleに騙された! 残念。
図書館はなかったけど近くに見晴らしのいいところがあったのでそこに車を停める。
朝日を浴びながらパスポート用の写真を自撮りして、Photoshop先生に頼んで背景を真っ白にしてもらう。
いつも通り化粧なんてしていないので、ソバカスを少し消したい欲求に駆られながら……
そしてそこからしばらく車を走らせて、ずっと気になっていたタネマフタへ。
タネマフタ、大きな木を見ることができる散歩道の名前だと思っていたら、ちょっと色々違った。
これがタネマフタ。タネマフタっていうのは木の名前でした。
マオリ語で森の主という意味だそう。
大きいな〜!
今まで見てきた数多のカウリの中で一番大きいかもしれない……と思っていたら、やっぱりタネマフタはニュージーランドで一番大きな木なんだそうだ。
樹齢は1250年、高さは50メートル以上。
そして日本の屋久島にある縄文杉と姉妹木協定が結ばれているらしい。なんと〜
(私は高校の修学旅行で屋久島に行ったんだけど、縄文杉は結局見に行ったんだっけ……? 忘れた)
すごいな〜でかいな〜と思いつつ、だけど結構観光客もいるので割と早めに退散。
有名どころなんだなあ。
私がもともと行きたかった散歩道は、ちょっと先にあった。
歩いて50分の散歩道! ちょうどいいサイズだ〜
綺麗な森を歩いていると、どんどん元気になっていく。
人も少なくて、ただ森がそこにあるだけ。
木があって草があって、歩く道がある。
道の終わりには、大きなカウリの木があった。
なんて立派なんだろう。
なんて大きな木なんだろう。
私が今まで歩いていきた道はここでおしまい。
そっか、この木のために作られた道だったんだなあ。
この木は千年以上前からここにいて、森と一緒に大きくなったり小さくなったりしながらたくさんの植物や動物たちと生きていて。
そうやってただそこで生きていたら、あるとき急に現れた人間に「森のお父さん」って名前をつけられた。
そしてそのうち道が作られて、いろいろな人が彼に会いに来るようになって、私もそうやってここに来た一人なのだ。
パスポートがないこと、ロックダウンがまた始まったこと。
そしてなにより、二月あたりから始まったどんなに頑張っても毎日感じる小さな不安。
大きな木を見ると、そういうのも遠くへ行ってしまうような気がする。
大変なことがあり過ぎてもう結構お腹はいっぱいです。
とはいえこれから先も、大変なことが起こりつづけるんだろうなあ。
それでもどうか、生き延びていけますように。
全部投げ出したくなっちゃいたい、そんな気持ちになったとしても、乗り越えていけますように。
この木はタネマフタに続く大きな木、つまりニュージーランドで二番目に大きいカウリの木だそう。
だけど私にとっては、タネマフタ以上に大きな木だった。
どっしりと構えているその姿に、とても魅了された。
途中、さっきタネマフタですれ違った親子にまた会った。
少し太ったお父さんは私に気がつき、にっと笑って「hello again!」と言う。
朝あんなに曇っていた空は少しずつ晴れて、道には木漏れ日がさしている。
カウリの森ブッシュウォークから一転、今度は海沿いの散歩道。
海沿いの丘を少し歩いて、景色を眺めることができる場所にやってきた。
景色もいいけど、私が何より気に入ったのはこの土です。
オレンジ色の土と、低木の緑が本当にきれいなんだ〜
地層が面白い。
質感も色合いも最高すぎる。
高校の時、選択地学を取らなかったことを何度も後悔している……
ここから今日は一気に進みます。
カイタイアの近くにあるフリーダムキャンプ場へ!
その前に図書館に寄って、ドライブ用のラジオをダウンロードしたり、キャンプ場への道のりの間にどこかに歩けるところがないか探していると、ふと気がついた。
あれ、たしかメインロードが封鎖中なんだっけ……
慌てて地図で経路を調べると、やっぱり封鎖中。そのせいで迂回をしなければいけないから、キャンプ場まではなんと二時間以上も時間がかかることになっていた。
それはやばい、日が暮れる! 早く行かないと!
慌てて車に戻って二時間のドライブ開始。
迂回ルートは山道で、カーブだらけで、めちゃくちゃしんどかった……
だけどきれいな景色がいっぱいあった。
景色を眺めながら車を走らせていたら現れた、一面のススキ。
カーブに失敗して荷物が錯乱したときに、慌てて止まった待避所の景色。
そんなこんなで2時間のドライブもあっという間でした。
さて、今日のキャンプ場です。
無料のフリーダムキャンプ場に行く予定だったのだけれど、なんと辿り着けず……
環境省(DOC)のホームページを見る限り、回り道をすれば辿り着けそうだったのに無理でした。
すでに辺りは真っ暗、どうしよう!
と慌てて近くのキャンプ場を調べるも、なんだか全て高い……
その中で唯一値段が書いていなかったキャンプ場に滑り込むことにしました。
そうしたら、ここがね、
今まで一番、
一番の一番、理解できない値段だったんです……
一晩34ドル(2400円)だったんだよ!? 信じられない!
しかもシャワーは有料だから、トイレとキッチンを少し借りるだけなのに!!
本当に理解できない……
同じ設備で基本の相場は10ドルだよ……
34ドルだったら、下手したらホテルの個室借りられる値段だよ〜!
こんなところがあるんだ……やっぱり調べるべきだった……
普段だったら値段を聞いて絶対やめるんだけど、この日は私が来たことでわざわざ開けてくれた(ちょうどオフィスを閉めたところで、私に気付いてもう一度開けてくれた)こともあり引き下がれず。
間違いなく悪いのはちゃんと調べなかった私で、スタッフはとても親切だったから、一晩くらい……と泊まることにした。
適当にそこら辺の道路で寝て200ドルの罰金取られるよりはマシだもんね。
でも、一晩車を駐車するだけで34ドル…………
モヤモヤを抱えまくりながら眠りについた。
フリーWi-Fiがあるのは少し嬉しかったけど、それもすごく弱くてほとんど使い物にならない。
15ドルや20ドルで超快適だったラウェネとかムリワイのキャンプ場が恋しいよ〜〜